2020 Fiscal Year Research-status Report
Selective formation of hydrocarbon fuel substrates by cross-metathesis conversion of vegetable oils
Project/Area Number |
20K04333
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
山根 浩二 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (10210501)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 交差メタセシス反応 / 炭化水素燃料 / 植物油 / 脂肪酸メチルエステル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,燃料やポリマー素材などの化学工業への植物油の応用範囲が広がりつつある.その一つにバイオディーゼル燃料がある.バイオディーゼル燃料は,炭素数が16-18の脂肪酸メチルエステルであり,その一部に炭素二重結合を持つ不飽和脂肪酸メチルエステルを有している. この不飽和脂肪酸メチルエステルに,交差メタセシス反応を適用することで,バイオディーゼル燃料を軽油に近い蒸留特性を有する燃料に改質することができる.メタセシス反応とは,Ru系触媒によって2つの炭素一炭素間の二重結合位置で組み替える可逆反応のことである.二重結合を一つずつ持つ二つの異なる分子にメタセシス反応を行うと新たに 8種類の分子が生成される.異なる分子同士で組み替える反応を交差スメタセシス反応,同じ分子同士で組み替える反応を自己メタセシス反応という. 本研究では,植物油の交差メタシシス反応により,任意の炭化水素燃料基材を選択的に得るために,反応物である脂肪酸とオレフィンの組み合わせにより,どのような組成の生成物が得られるのかを明らかにすることを目的とする.すなわち,3種類の脂肪酸メチルエステルと,炭素-炭素間二重結合の位置の違う1-オクテン,2-オクテン,分子量の違うペンテン,ヘキセンなどのオレフィンで交差メタセシス反応を行った場合,炭素-炭素間二重結合部で切断され,直鎖構造部の組み換えがどう生じるか予測し仮説を立て,交差メタセシス反応実験を行い,その結果をもとに任意のオレフィンを選択的に生成することを目的とし実験を行った.その結果,多価不飽和脂肪酸に対するオレフィンの量を増やすと,交差メタセシス反応が優勢になることが明らかとなった.また,オレフィンの炭素数を増すと,高炭素数の生成物の割合も減少すること,二重結合位置が1位から2位に変わると,高炭素数の炭化水素生成物割合が増加することなどが明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定していた通りの研究成果が得られた.なお,オレフィンの炭素数を増すと,高炭素数の生成物の割合が減少すること,二重結合位置が1位から2位に変わると,高炭素数の炭化水素生成物割合が増加することなどが明らかとなったことは,大きな成果である.
|
Strategy for Future Research Activity |
新年度には,前年度と同じ研究体制で推進する.研究内容としては,植物油の代表としてトリオレインなどトリグリセリドに対する交差メタセシス反応によって炭化水素燃料基材を直接生成する反応条件を見出す.得られた生成物から炭化水素成分を分留し,残油をメチルエステル化あるいはメチルエステル交換反応させるスキームを確立する.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため,旅費として計上していた経費が残った.翌年度からはこれらを消耗品となる高級試薬やGC分析カラムに充当して研究を進める計画である.
|
Research Products
(1 results)