2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of ultra-high density multiple-ion probe for precise measurement of knocking
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20K04337
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
八房 智顯 広島工業大学, 工学部, 教授 (50346524)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオンプローブ / 伝播火炎 / 詳細計測 / ノッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車用ガソリンエンジンの低燃費化には,圧縮比を高めることが有効であることが古くから知られているが,ノッキングに代表される異常燃焼が生じてしまうため圧縮比の増加には限界がある.ノッキングを避けながら圧縮比を高めるために,ノッキング現象を詳細に調べる必要がある.ノッキングは小空間で生じる爆発的な高速燃焼であり,同現象を精密に捉えるためには高い時間解像度で火炎面を捉えることができる計測が必要となる.一般には光学可視化や圧力計測などが用いられることが多いが,計測の時間的・空間的解像度の制限によりノッキングを精密に捉えるには至らない.本研究グループが開発しているマルチイオンプローブ法(複数のイオンプローブを用いて火炎面を空間的に捉える計測手法)は定容燃焼管内で発生させた様々な種類の火炎を、高い時間解像度で詳細に捉えられることが明らかになっており,同計測法がガソリンエンジン内のノッキング現象を捉えるための十分な時間解像度を有することを確認している. 本研究は,マルチイオンプローブ法をガソリンエンジンに適用し,同計測法でノッキング現象の発生初期から発達過程を詳細に捉えることを最終目標としている.これを実現するために,定容燃焼管を用いたイオンプローブの計測特性の調査を継続的に実施するとともに,ガソリンエンジンへのマルチイオンプローブ計測システムの設置を容易にすることができる,ユニット型マルチイオンプローブの開発を本研究期間内での目標としている.2021年度は,矩形管を伝播する火炎のイオンプローブと可視化による同時計測,およびガソリンエンジンへの適用性の向上を図るべく,信号増幅回路の大幅な見直しを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,矩形管を伝播する火炎のイオンプローブと可視化による同時計測,およびガソリンエンジンへの適用性の向上を図るべく,信号増幅回路の大幅な見直しを行った. 伝播火炎の可視化とイオンプローブの同時計測は,イオンプローブで計測される火炎信号の特性をより詳しく調べるために実施した.可視化とイオンプローブ計測の整合性を取るため,可視化窓を備えた矩形管を用いた.矩形管の断面は20mm×30mmで,30㎜側の面に管軸方向長さ100mmの可視化窓を,その対面の可視化領域に15点のイオンプローブを設置した.メタン・酸素の当量混合気で発生させた伝播速度が2.4km/sのデトネーションを同時測定したところ,可視化計測による火炎面とイオンプローブが検出する火炎面は完全に一致することが確認できた.一方で前述混合気に窒素希釈率を高めた場合,火炎面の3次元性が強くなり,撮影した火炎面とイオンプローブの火炎検出信号の単純な一致は見られなかったが,イオンプローブが壁面近傍の火炎を検出することを鑑みれば,イオンプローブの出力データは火炎面を捉えていると考えられる. 次にイオンプローブ計測をガソリンに適用するために,信号増幅回路のノイズ対策を実施した.その結果,12点までのイオンプローブ計測を実施することができた.併せてエンジン負荷および回転数が急激に変化する過渡運転状態についてもイオンプローブでの計測を実施した.得られたデータを統計的に解析したところ,エンジン内を伝播する火炎が点火前の筒内流動の影響を強く受けていること,急激なエンジン回転変動時であっても回転数と火炎伝播速度が比例関係にあること,などが確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に調査した,矩形管を伝播する火炎のイオンプローブと可視化による同時計測,およびガソリンエンジンのイオンプローブ多点計測は,いずれも途上であり2022年度も引き続き実施する. 矩形管を伝播する火炎を用いた研究では,イオンプローブと可視化に加えて,圧力センサも計測区間内に設置しイオンプローブ・可視化・圧力の3種の同時計測を実施する.この同時計測により,これまで検討が不十分であった火炎面の3次元性とイオンプローブによる火炎検出信号の関係を詳細に調査する. ガソリンエンジン計測については,安定的な計測に目途がついたため,イオンプローブの計測点数を増やし,運転条件を増やすことを中心に実験データを取得する.さらに,イオンプローブを局所的に高密度に配置できるニット型マルチイオンプローブを製作・設置し,点火時期を早期化してノッキングに近い燃焼を発生させ,火炎検出を試みる.
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Causes of Carryover |
本研究では高性能OPアンプや各種コネクタを大量に購入して使用するが,回路構成部品の見直し等により,若干ではあるが材料コストが削減されたため,当初予定よりも使用金額が減少した.次年度はイオンプローブ計測点数を増やす予定であり,前年繰り越し分を有効に使用する予定である.
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Research Products
(3 results)