2021 Fiscal Year Research-status Report
超低温廃熱回収を可能とする気液相変化型の新しい熱・音波エネルギー変換手法の確立
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20K04339
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
小清水 孝夫 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (00390534)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱・音波エネルギー変換 / 蒸気発生 / 音波発生 / 蓄熱器 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,前年度生じた熱交換器の問題を解消し,蒸気発生量に対する音波発生の影響についての調査を継続して進めた.結果として,本実験条件の中で最も蒸気発生量が多い条件において,発生する音波の音圧が最も大きく振動を継続できることが明らかになった.それ以外の条件においては,発生する音波の音圧がかなり小さく,振動も継続できないことが確認された.これは蒸気発生量が最も多い条件以外では,補助的ではあるが蓄熱器を直接加熱しており,結果として,相変化が起きる状態から遠ざけてしまっていること,また,蓄熱器を直接加熱している熱源からの熱が管壁を通って低温端へ流れてしまい,蓄熱器の温度勾配を維持できなくなっていることが原因として考えられる. 上記の実験と並行して,蓄熱器内の可視化についての研究も実施した.上記の蒸気発生量の実験において使用した装置の蓄熱器部分をステンレス管からアクリル管に変更し,さらに蓄熱器として蓄熱器内の蒸気の挙動を観察する場合にその内部を物理的に観察することができないハニカムセラミックスからそれぞれの隙間の様子を確認することができるプラスチック球に変更した.しかしながら,本装置では発振を確認することができなかった.本研究の基礎実験として以前に実施したプラスチック球を蓄熱器として使用した簡易実験では,ステンレスやアクリルなどの円管ではなくバケツ状のものでより直径が大きいものであり,その際には発振が確認された.このことから,今回使用した円管による実験装置では,発振に必要な蓄熱器の伝熱面積を確保できていない可能性があり,蒸気発生量の実験とは別に可視化に特化した実験を行う必要があると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蓄熱器の可視化に関する研究において,現装置での音波発生が難しく,可視化ができていない状況である.初年度のコロナウイルス感染症対応のための遅れに加え,上記の蓄熱器の可視化実験の問題により,研究全体にやや遅れが生じている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,まず,蓄熱器内の可視化実験を早い段階で進める予定である.また,前年度から継続して進めている蒸気発生量に対する音波発生の影響についての実験において,蓄熱器を補助的に加熱することが問題であることが判明したため,蓄熱器の直接加熱は行わず,蒸気発生量のみの影響調査を継続する予定である.その後,蒸気振動流に対する蓄熱器の調査を実施し,最終的にシステムとしての低温廃熱回収システムを提案する予定である.
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Causes of Carryover |
蓄熱器の可視化実験のための物品(撮影機材)が比較的安価に購入できた.しかしながら,可視化実験に特化した装置自体の製作が必要になったため,装置製作のための物品購入の費用として,この余剰分を使用することを計画している. また,学会参加のための旅費も計上していたが,オンラインでの参加となったため旅費自体は発生せず,参加費のみを使用した.
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