2021 Fiscal Year Research-status Report
歳差回転運動を用いた遊星式攪拌の混合性能向上に関する研究
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20K04346
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山縣 貴幸 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50554284)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歳差回転運動 / 慣性振動 / 混合・攪拌 / 動的モード分解 / 可視化計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
攪拌翼なしで容器の歳差回転運動のみで混合する遊星式攪拌では、歳差率を変えた場合に容器内に生じる旋回流強度と混合性能が必ずしも対応しない場合がある。そこで、容器内流れ場の慣性振動と混合性能との関係を明らかにし、遊星式攪拌の混合性能を向上させることを目的として、容器内流れ場と流体混合の数値解析および実験による検証を行う。 今年度は、数値解析で得られた流れ場および混合性能の妥当性を検証するための実験を行った。遊星式攪拌機は自転と公転の回転速度比を2.1:1とし、容器角度は15、30、45度の条件とした。容器内にはシリコーンオイルとでんぷん粒子を入れ、回転と同期させたストロボとディジタルカメラにより容器内の混合の進展状況をミー散乱法により可視化計測した。実験結果より、容器角度が小さい場合に混合が完了するまでの時間が短く、混合性能が高くなることが明らかとなった。これは、遠心力の影響により液面の変形が増加し、容器内の流体振動が増加したためだと考えられる。これらの混合の進展状況や液面形状は、数値解析結果とよく一致しており、数値解析の妥当性を確認することができた。また、数値解析で得られた流れ場の慣性振動の特徴抽出を行うため、Dynamic mode decomposition(DMD、動的モード分解)およびProper orthogonal decomposition(POD、固有直行分解)を行った。両モード解析により、低次のモードでは歳差率による流れの振動周波数への影響は小さいが、高次のモードでは歳差率によって振動周波数が変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析によって得られる流れ場および混合性能の検証実験が予定通り完了し、容器角度による混合性能への影響や液面形状の再現性など数値解析結果の妥当性を確認した。また、数値解析結果に対するDMD解析も実施し、POD解析結果との対応や混合性能との関連について考察を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
検証用の実験において、装置の構造上、歳差率を変更することが困難であり、1条件でのみ実施していた。しかしながら、数値解析結果からはより高い歳差率で混合性能が増加する可能性が示唆されていることから、より高い歳差率での実験を行うための装置の設計および改良を行う。数値解析では、得られた3次元速度場データに対してDMD解析およびPOD解析を行い、流れ場の主要モードの特徴的な構造を明らかにするともに、自転・公転回転速度比(歳差率)、容器の角度、液面高さ、レイノルズ数などの影響について調査する。また、遊星式攪拌における各種パラメータによる流れ場の慣性振動の特徴と混合性能との関係を考察し、混合メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(2 results)