2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of various keratin exfoliation phenomena by numerical simulation
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20K04352
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
永山 勝也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70363398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 角質剥離 / ループ計算 / 恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚の形成の数理モデルを構築し、数値シミュレーションにより、コンピューター上で数値実験を行い、表皮形成の再現を行っている。本研究では特に表皮のバリア機能に大きく影響する角質の様々な剥離現象を計算により究明する。 人体には恒常性という様々な調節機能があり、皮膚にも調節機能がありそれを計算で再現する。具体的には、乾燥⇒角質厚み増加⇒蒸発量減少⇒湿潤⇒角質厚み減少⇒蒸発量増大⇒乾燥というループを繰り返していると考えられる。乾燥すると角質の厚みが増すのは、分解酵素の拡散が抑制され、接着斑が減りにくく、剥離しにくくなるためでそれを正確にモデルに組み込む。 Phase I > 角質変化のループ(連成)計算による角質厚変化のパターンの究明(2021まで)のうち、2020年は正確な接着斑モデルとループ計算による角質厚みの変動現象の究明を行った。 従来は、角質の剥離日数を水分の関数(水分と反比例)として近似していたが、今回の連成計算では水分が角質間にある接着斑の分解モデルを導入し、現象に忠実な計算を行った。具体的には、水分が低下すると分解酵素の拡散が抑制され、接着斑が減りにくく、剥離しにくい。逆に水分が高まると分解酵素の拡散を促進し、剥離を順調にするという説をモデル化した。 接着班の分解モデルとループ計算(連成計算)を導入したことで、角質の時間変化は、①固定水が多い場合は、角質の厚みがほぼ一定に保たれ、剥離が順調な数値解析結果が得られた。また②固定水がやや減少すると、ある範囲内で増減を繰り返す微小変動の現象が計算で見られ、皮膚の恒常性を裏付ける結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、接着班の分解モデルとループ計算(連成計算)を導入したことで、角質の時間変化は、①固定水が多い場合は、角質の厚みがほぼ一定に保たれ、剥離が順調な数値解析結果が得られた。また②固定水がやや減少すると、ある範囲内で増減を繰り返す微小変動の現象が計算で見られ、皮膚の恒常性を裏付ける結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Phase I > 角質変化のループ(連成)計算による角質厚変化のパターンの究明のうち、2021年は予定通り、③厚みが単調増加し、塊となって大量剥離により厚みが急減し、また単調増加する現象の究明を行う。また固定水だけでなく自由水も考慮して、水分の影響を更に詳しく調べる。2022年以降は予定通り、Phase Ⅱ > 角質の微細ひび割れモデルを導入し、水分ロス増に伴う角質変化を表現する。
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Causes of Carryover |
国際会議発表のオンライン化により旅費が節減された、また計算機は試し計算用に性能を控えめにした。次年度は、計算量が増えることから性能の高い計算機の導入、国際会議発表を推進して、研究費を有効に活用する。
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