2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of innovative sound absorption mechanism with lightweight and fine powder
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20K04359
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坂本 秀一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40211932)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軽量な粉体 / 微細な粉体 / 粒状体 / 吸音率 |
Outline of Annual Research Achievements |
単純立方格子と六方格子の2つのモデルを扱い、粒径数mmの粒状材料を充填した構造の吸音率を測定した。さらに、多数のパラメータを必要としない1次元伝達行列法を用いた簡便かつ正確な理論解析を行った。単純立方格子と比較して,六角格子は隙間の容積が小さいため,隙間内の境界層の割合が大きく、それによる粘性摩擦の影響が大きくなり、吸音率のピークが高くなった。また、提案した解析手法で得られた理論値は、実験値と概ね一致した。これらの結果を集約し学術雑誌に論文として1編を発表した(研究発表の欄に記載)。 粒径や嵩密度が小さく、粉体粒子の縦振動により低周波で特異な吸音特性を示す「軽量・微細粉体」について、粒子径や嵩密度がどのような値であれば、特異な吸音特性が得られるかは、これまで不明であった。そこで、粉体諸元と吸音特性の関係を明らかにし、蓄積されたデータをもとに、実験式から粉体層の吸音率を予測できるようになった。得られた実験式を用いることで、各粉体の特性のみから吸音率を推定する方法を示すことができた。この結果について、学会にて1件の口頭発表を行った(研究発表の欄に記載)。 粒状材料を充填した構造物に関して、六方最密充填構造および面心立方格子と、ランダム充填構造の吸音特性を理論解析により評価した。規則充填構造については、粒状体の表面積と空隙の体積の正確な値を用いて理論解析を行い、ランダム充填構造については、CTスキャンによる断面画像を用いて理論解析を行った。推定精度を向上させるため、超音波センサーを用いて迷路度を測定し、理論解析に考慮した。この結果について、学会にて1件の口頭発表を行った(研究発表の欄に記載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粉体の振動による吸音について、特殊な吸音効果が現れる粉体の条件が明らかになった。予備研究で、主に「かさ密度」と「粒径」が関係することが判っていたが、新たに粉体層一層あたりの面密度により特性が整理できることが判明した。 粉体間の隙間に発生する境界層摩擦による吸音効果についての基礎研究について、単純立方格子と六方格子について明らかになり学術論文として掲載された。また、六方最密充填構造および面心立方格子と、ランダム充填構造についても予備研究がまとまり、学会発表を行った。今後、さらに研究を進めて学術論文として投稿する予定である。 以上のことから、補助事業期間中の研究実施計画に比して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
粉体の振動による吸音について、特殊な吸音効果が現れる粉体の条件を引き続き解明していく。現在までの研究で、粉体層一層あたりの面密度により粉体の吸音特性が整理できるようになったため、今後は、より多種の粉体について系統的に実験を行う予定である。それらのデータを整理して、実験式を導出できれば、粉体の諸元のみにより、粉体の吸音特性を予測できるようになるため、これを一つの目標とする。このことにより、理論解析モデルの改良を行う。これらの結果については、学術雑誌に論文として発表予定である 粉体粒子間の隙間による吸音の解明について、規則的およびランダムに配列した粒状体の吸音特性を寸法・形状から予測する精度の向上を目指す。理論解析と比較するための実験も引き続き行う。ランダム配列についてはマイクロCTスキャン装置で測定する。理論解析の精度向上については、当研究室で開発した音響的な経路長(迷路度)測定器を用いる。これらの結果については、学術雑誌に論文として発表予定である
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Causes of Carryover |
令和3年度に計上した単一周波数ダイオードレーザー他の予算で購入できたため、数値解析ソフトウェアの解析ツールオプションを購入した。 令和4年度は、令和3年度からの次年度使用額を併せて、研究の進捗状況に沿った設備備品の導入や研究費の運用を行う予定である。
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Research Products
(4 results)