2021 Fiscal Year Research-status Report
6軸力学試験機によるアジア系人種の屍体脊椎多椎の変形挙動解析
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20K04362
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加藤 貴也 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 准教授 (40422878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 創太郎 三重大学, 工学研究科, 助教 (10839674)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度同様に新型コロナウィルスの感染拡大による研究計画の大幅な遅れが継続した。三重大学における研究活動の制限は緩和され、動物(鹿)屍体脊椎を使用した実験や有限要素法を用いた数値解析は進められたものの、国際的な移動の制限が継続した関係で海外渡航ができず、コンケン大学での実験が実施できなかった。その結果、2020年度に予定していた研究計画を(コンケン大学の既存の力学試験機におけるヒト屍体脊椎単椎間の単純および複合負荷試験方法を確立させる)を本年度も実施できなかった。 一方で、2020年度に課題となった動物屍体脊椎の入手については、新たな入手ルートを構築し、実験に必要な量の試験体を確保するに至った。それによって、2020年度に実施した脊椎用6軸力学試験による動物屍体の多椎間の正常,損傷,インプラント装着など各種モデルに対する力学試験を複数回実施し、再現性の確認、試験方法の評価をするとともに、数値シミュレーションで行っている条件と同様の実験を実施し、計算と実験の結果の比較を行うことができた。その結果、試験方法については、回旋試験の変位計測に多少の課題が残るものの、その他の必要な試験条件について、多椎間脊椎の実験方法を確立することができた。そこで、2022年夏季のコンケン大学での実験を目指し、脊椎用6軸力学試験機のタイへの移設の準備を進め、2021年度末には三重大学からコンケン大学へ試験機を発送するに至った。併せて、コンケン大学で使用する同ひずみアンプ等も準備した。また数値シミュレーション(ANSYSを使用)では、椎間板に非弾性の特性を組み込んだ独自のアプローチによる計算結果と実験データとの比較を進めた。過去に報告されている単純な弾性モデルでは表現できない実験結果を反映することができた。これらの成果をまとめ学会発表、論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、新型コロナウィルスのパンデミックの影響で実施できなかった2020年度の計画(三重大学での動物屍体脊椎を用いたプレ試験を基に、コンケン大学の既存の力学試験機によるヒト屍体脊椎単椎間の単純および複合負荷試験方法を確立させる)を実施予定であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大は収まらず、国際的な移動の制限が継続したためコンケン大学への渡航、実験が行えず、未だ大幅な計画の遅れが生じている。 一方、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けていた動物屍体脊椎の入手は、新しい入手ルートを確立できたため、実験に必要な数量を準備できた。その結果、三重大学での動物屍体脊椎を用いた実験は殆ど制限なく行えるようになり、コンケン大学で計画している脊椎多椎間の複合負荷試験方法の構築、検証を行うことができた。この結果を受けて、計画されていた2021年度の脊椎用6軸力学試験機のコンケン大学への移設準備を進め、計画の遅れはあるものの、2021年度末に三重大学からコンケン大学に向けての試験機の発送に至った。また数値シミュレーションにおいては、椎間板に非弾性の特性を組み込んだ独自のアプローチによる計算結果と実験データとの比較が進み、過去に報告されている単純な弾性モデルでは表現できない実験結果を表現することができた。これら実験および数値シミュレーションの成果は、日本臨床バイオメカニクス学会において、3報の発表と論文投稿に至った。投稿した論文は掲載可となっている。 未だ、コンケン大学では計画していた実験が行えておらず、その関係で計上していた旅費などの関連経費は計画通りに執行することができなかった。国際的な移動の制限が緩和されつつあり、2022年度夏季にコンケン大学へ渡航予定であるが、研究期間の延長が必要な状況だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の研究活動については、多少の制限はあるものの十分な試験体(鹿屍体脊椎)の入手に至ったため、研究を推進できる環境は整った。脊椎多椎間に対する複合負荷試験の方法を検証し、最低限の試験方法を確立できたので、今後は、興味深い研究結果が得られ始めている数値シミュレーションとその評価実験をさらに推進する予定である。 国際的な移動を含む活動については不透明な状況ではあるが、2022年夏季の実験実施を目指し、脊椎用6軸力学試験機のコンケン大学への発送ができた。未だ、コンケン大学へは渡航できていないので、2021年度に計画をしていたコンケン大学の力学試験機を用いた実験が行えていない状況であるが、本年度夏季に渡航し、発送した6軸試験機がコンケン大学へ設置され使用できる環境を整えられたら、コンケン大学に既存の力学試験機も並行して活用し、可能な限り研究を加速させられるような研究計画の見直しを行う。 しかしながら、現状では2022年夏季はコンケンへ渡航できる可能性が高い状況であるが、新型コロナウィルス感染拡大による海外渡航の制限の状況が未だ不安定であり、大幅な実験計画の見直しも想定される。その一方で、2022年度は当初計画の最終年度ではあるが、本研究においてコンケン大学でのヒト屍体を用いた実験は極めて重要な内容になるため、他の実施内容に置き換える等ではなく、可能な範囲で関連する予算は繰り越し、研究期間の延長を行い臨機応変に国際情勢に合わせて研究計画を再考する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、海外(タイのコンケン大学)での実験を行うことが出来なかったため、海外渡航旅費などの関係予算を執行することができなかった。 (使用計画)可能な範囲で繰り越しを行い、海外渡航が可能になったら実施する。 現状の海外渡航の制限であれば、2022年度夏季の渡航を予定している。ただ、新型コロナウィルスの2年間の影響は大きいため、研究期間の延長を考えている。
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Research Products
(6 results)