2021 Fiscal Year Research-status Report
鳥類の気流に合わせた羽ばたきの変化および樹枝への着陸のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20K04364
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大竹 博 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60377017)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 羽ばたき飛行ロボット / 筋骨格構造 / ツイストドライブ / 脚ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,翼の動作や気流の流れの感知,脚構造に関する知見を取り入れた鳥型飛行ロボットを再現し,工学的な観点からこれらのメカニズムや機能を解明することである.令和3年度は3つの研究に取り組んだ. 1つ目は,筋骨格構造を模倣した羽ばたき機による素早いフラッピング運動とフェザリング運動の実現である.前年度の研究において,ツイストドライブによるフラッピング運動とフェザリング運動を実現したが動作は非常に遅かった.令和3年度は素早い運動の実現を目指して,ツイストドライブのワイヤの素材や径の検討および効率的な力の伝達が行われるように機構の設計の見直しを行った.その結果,フラッピングは2Hzでの動作を,フェザリングは0.17sでの動作を実現した.現在はフラッピング・フェザリングの同時動作の実現と更なる自由度の増加に取り組んでいる. 2つ目は,脚構造を模倣した脚ロボットの開発である.前年度の研究において,脚ロボットを試作し,動作確認を行った.令和3年度は,安定した把持を実現するために脚機構の構造や設計の見直しを行い,把持力の強化を行った.また,脚を取り付けた状態での羽ばたき飛行ロボットの飛行可能性について検討するために,ラジコンの羽ばたき飛行ロボットに脚を取り付け,飛行可能な脚の取付位置の検討と羽ばたきから着陸動作への手動での遷移について動作確認を行った.現在は,脚の軽量化と羽ばたき飛行からの枝への着陸に取り組んでいる. 3つ目は,飛行ロボットの周囲の流れ場の推定を行うために,3つの小型エアフローセンサを用いて,風向の推定を行った.3つのエアフローセンサの向きを変えて設置し,正面から送風機で風を送り,センサの向きの違いによるセンサ出力値の違いを比較し,風向の推定ができることを確認した.現在は飛行ロボットに取り付けての風速・風向の推定に取り組んでいる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言の発出によって,大学への入構が制限されたり,世界的な半導体不足で高速度カメラの納品が遅れたため,筋骨格構造を模倣した羽ばたき機の高速度カメラによる動作検証ができておらず,進捗が遅れている. 一方,把持ハンドの実現については,先行して取り組んでいたため,順調に進んでいると言える. また,令和4年度に取り組む予定であるフローセンサを用いた機体周りの流れ場の推定については,令和3年度に装置の検討を始めたため進んでいると言える. これらを総合的に判断して,おおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,研究期間の最終年度であるため,筋骨格系を模倣した多自由度羽ばたき翼の実現と動作検証,フローセンサを用いた機体周りの流れ場の推定と動作の検証,脚による樹枝への着陸に取り組む.筋骨格系を模倣した多自由度羽ばたき翼は,フラッピングとフェザリングの同時動作の実現と高速度カメラによる動作検証,および,力の計測に取り組み,羽ばたき飛行の実現を目指す.フローセンサを用いた機体周りの流れ場の推定では,はじめに,固定翼の飛行ロボットに複数センサを取り付けての風向と風速の推定および飛行制御に取り組み,その後,羽ばたき飛行ロボットへの実装を行い,流れに合わせた羽ばたき動作の検証を行う.脚による樹枝への着陸では,脚の軽量化を行い,羽ばたき飛行からの枝への着陸に取り組む.
|