2020 Fiscal Year Research-status Report
視覚障がい者のための ジャイロモーメントによる走方向誘導装置
Project/Area Number |
20K04365
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
熊澤 典良 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (60284907)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジャイロモーメント / 方向誘導 / 視覚障がい者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,視覚障害者が伴走者の誘導を受けないで陸上競技場のレーン上を疾走できる誘導支援システムを開発することである.視覚障害者の陸上競技には目の代わりとなる伴走者が必要であり,伴走者には走者以上の運動能力と視覚障害者とをつなぐガイドロープによって進行方向を伝える技術が要求される.開発する誘導支援システムはレーンや方向を意識することなく走ることのみに集中してできる進路呈示であり,進行方向の呈示が外乱となってランナーの競技に集中した意識を乱さないシステムの構築である. 本研究は,大きく3項目「①力覚呈示装置の試作と検討(IARGの改良と開発)②位置・方向の計測および誘導方向の決定③集中度センサによる違和感の評価」に分類して計画し,令和2年度は①および②の項目に対して注力した.項目①は視覚障害者に進行方向を伝える装置の開発であり,現有のIARGをそのまま用いる「運動アシスト(助力)による誘導」および「力覚呈示が助力とならない誘導(IARGの改良版)」の両者についての検討である.②は視覚障害ランナーの現在位置・進行方向の計測手法および誘導すべき方向の検討であり,位置と方向は準天頂衛星システム「みちびき」からのL6信号用いた高精度単独位置測位が可能な次世代の受信機,もしくは従来のRTK技術に代表される基準局からの補正情報を用いた高精度測位サービスのいずれを用いて位置を計測するかの選択である. 令和2年度に実施した研究では,競技場内を疾走するランナーの位置および方向がRTK測位によってセンチメートルの精度で測定できることを確認し,並走するランナーのそれをも同時に計測するシステムを新しく開発した.陸上競技場のレーン上を誘導するためにIARGを力覚提示装置として改良して身体に装着して実施した実験から,進行方向を適切に誘導できる見通しを得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の実施期間中,幾度となく新型コロナウィルス感染症により研究等を停止しなければならず,大学院生の協力(アクチュエータ・プログラム等の開発支援)および被験者による実験が十分ではなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
高精度測位により,並走する伴走者の向きを規範として,伴走者をマスター,ランナーをスレーブとするマスター・スレーブ制御システムに見立て,ランナーの向きが伴走者のそれと一致する制御系の設計を目指す.マスター・スレーブ制御系を構成する上で,伴走者と誘導されるランナーの進行方向のズレとその決定方法(晴眼者の視線からの距離および方向)を明らかにしていく.この結果をもとに,開発中の力覚提示装置により誘導方向を適切に決定する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により長期間の研究活動の停止が繰り返され,当初の計画通りに研究を実施することが困難となったため,予定していた機器の購入を見送った.次年度に当該機器を購入して実験を実施したい.
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