2021 Fiscal Year Research-status Report
電圧反転とサージ電圧を併用した高性能振動エネルギハーベスト手法の確立
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20K04373
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
小野田 淳次郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 名誉教授 (20013740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峯杉 賢治 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (90239327)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | vibration energy harvest / piezoelectric / low-amplitude vibration / serge voltage |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の代表的振動エネルギハーベスト手法であるSSHIの電圧反転による電圧増幅機能と、サージ電圧を併用することにより、より優れた振動エネルギハーベスト手法を開発しようとするものである。 その手法の特性は主としてスイッチ駆動パターと回路トポロジーに支配される。我々は、従来の2種のスイッチ駆動パターンに対し、新たな第3のスイッチ駆動パターンを加えるとともに、従来の回路トポロジーに対して新たな第2の回路トポロジーを加え、それらの組み合わせである6種の手法を定義した。そのうちの4手法が新しい手法である。近似的解析解、数値シミュレーション、実験により、それらの手法の性能特性を吟味した結果、特に2種の新手法は、振動レベルが小さい場合にもエネルギ蓄積用キャパシタを高電圧にまで充電できること、つまり大きなエネルギを蓄えられることが判明し、学術誌に査読付き論文として掲載した。 一般的に、更に効率的にエネルギーを蓄える手段の一つは、振動子の共振を利用することであるが、その場合には電気機械結合係数が高い程、エネルギハーベストの動作が振動子の振動を減衰させることとなるので、得られる電気的エネルギ量が減少する場合があることが知られている。そこで、研究計画を更に拡張して、電気機械結合が強い場合の共振時にも、上記各新手法が高い性能を発揮できるかどうかを、近似解析解、数値シミュレーションにより吟味している。現時点で既に、強結合時にもレベルが小さい振動から他手法に比べて大きなエネルギを蓄えることができることが示されつつある。また、実験の準備をも進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の骨格をなす部分は既に実施し、学術誌への論文掲載も終えた。 現在は当初計画をさらに発展させ、共振、強電気機械結合状況下での新手法の性能の吟味を行っている。近似解、数値シミュレーションの段階ではあるが、従来手法に比べての優位性が見えてきている。実験は準備段階であるが、本年度中の成果取り纏めは可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で、振動レベルが小さい場合にもエネルギ蓄積用キャパシタを遥に高電圧にまで充電でき、大きなエネルギを蓄えられることが示された新手法について、共振点付近で電気機械結合が強い場合にもその長所がどこまで発揮できるかを、近似解析、数値シミュレーション、実験により吟味する。上記目的の実験には、力学的振動減衰が小さく、電気機械結合が強い振動子を用いる必要があるので、新規作成する。
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Causes of Carryover |
昨年度報告書記載の理由により、昨年度から今年度へ送った未使用分があったことと、今年度も新型コロナ蔓延の影響で予定した学会の開催がリモート形式となったことから、今年度も次年度使用額が生じた。 現在、研究計画をやや拡張して、本研究で優れた性能を持つことが示された手法について、共振、強電気機械結合状態下での挙動の吟味を実験をも含めて進めている。この実験には力学的振動減衰の小さな振動子を用いる必要があるので、新規に製作する必要がある。そのために、次年度使用額を活用したい。
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