2021 Fiscal Year Research-status Report
UWB通信を用いた自己位置推定システムの低信頼性空間回避ナビゲーション
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20K04379
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
東 善之 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 助教 (70585760)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 屋内測位 / ナビゲーション / UWB / 遺伝的アルゴリズム / DOP / アンカー配置 / マルチラテレーション / レイトレース法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築した,UWB(Ultra-Wide Band:超広帯域)通信を行うアンカー(固定局)-タグ(移動局)間のレイトレース法を用いた通信電波強度分布の数値シミュレーション環境において,本年度は建造物の3D-CADデータを読み込ませ,その空間内における通信電波強度分布の数値シミュレーションを可能にした.これにより,柱や壁が存在する実環境に即した空間での伝播シミュレーションが可能となった. また,上記シミュレーションにより得られる通信電波強度と,UWB通信アンカーを配置した空間内においてマルチラテレーションの原理に基づき得られる位置推定精度分布とを組み合わせることで測位信頼性の評価関数を得た.この評価関数により空間内の任意の位置における測位結果の信頼性をシミュレーションにより判別できるようになった. 移動体のナビゲーションを行うエリア内の低信頼性空間分布は,設置するアンカーの位置により変化する.設置するアンカー数が多いほど通信時の死角が減り,DOP(Dilution of Precision:精度低下率)も低減されるため測位信頼性が高くなるが,実環境での設置を考慮した場合,極力少ない設置数であることが望ましい.そこで,このトレードオフ問題を解決するため,指定したアンカー数にて空間内の測位信頼性を最大化するアルゴリズムを構築した.測位信頼性の最大化のためには電波伝搬時の見通しの有無,反射波の到達,測位精度に影響するDOPといった複数のパラメータについて同時に考慮する必要があるため,遺伝的アルゴリズムにおける多目的最適化アルゴリズムであるNSGA2を使用した.このアルゴリズムによってアンカー配置を測位信頼性について最適化した結果,任意にアンカーを配置した場合よりも高い測位信頼性を発揮できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核となる,空間の通信電波強度と位置推定精度分布の両方を考慮した測位信頼性の評価関数を導出でき,特許の出願に至ったため大きな成果があったといえる.また,アンカー配置の最適化アルゴリズムに関しては,当初予定していなかったものの,次ステップの実機による低信頼性回避ナビゲーションの環境構築の準備として必須であったためこれに取り組み,最適化可能な基礎アルゴリズムを構築できた点が収穫である.
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Strategy for Future Research Activity |
ロボットナビゲーションのために測位の低信頼性空間を回避する移動ルートを生成するアルゴリズムの構築を行い,検証用機体を開発の後,実機による検証を行っていく.
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