2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanics for turning of quadruped locomotion
Project/Area Number |
20K04390
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20321474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 浩治 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00254433)
林 良太 岡山理科大学, 工学部, 教授 (40288949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 四足歩行 / 竜脚類 / 四足ロボット / 旋回行跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,竜脚類などの大型四足生物がどのように旋回するのか?という疑問に自動車工学における幾何学的旋回理論に基づいた考察をおこない,ロボットによってその妥当性を評価することを目的とする. 本年度は,昨年度まで得られた結果を見直し,旋回時に慣性モーメントが最小となるように操舵していることを仮説として与え,その結果として,軌道差が生じるとともに前後肢の操舵比が荷重の逆比になることを定理とし,証明するという流れにした.また,従来研究に見られる旋回行跡について,旋回半径と軌道差の関係や軌道差が観察されるための条件について議論し,より深い考察を与えた.具体的には,旋回行跡に軌道差が見られる条件として,旋回半径が小さく,一定速度,一定旋回半径の定常旋回時において,大型で慣性モーメントが大きい生物であることを明確にした.この観点から,小型竜脚類の旋回行跡には明確で一貫した軌道差が見られず,場合によっては特定の方向を注視しながら旋回したと予想される. また,四足歩行ロボットの実現を目指し,筋骨格系が持つ受動的連動と環境との相互作用に注目したワニの後肢ロボットを設計製作した.その結果,長尾大腿筋による股関節の伸展によってこの遠位端側の腱が分岐し,腓腹筋からFlexor digitrumにつながることで地面反力と拮抗し膝を伸展した状態に拘束することが明らかとなった.この動作により,長尾大腿筋の1自由度のみ駆動するだけで股関節の伸展動作,つまり支持脚動作が達成される. さらに,位相振動子をもちいた四足歩行ロボットにより受動歩行メカニズムに基づいた歩行を実現した.このロボットにより得られた知見に基づいてワニロボットもしくは竜脚類ロボット実現につながることを期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【目標1および2】昨年度までに軌道差が明確に見られる行跡の解析を行ったが,軌道差が曖昧な行跡や本研究の理論が適用できない行跡について,Greno-acetablar distance (GAD)で無次元化した旋回半径と軌道差の関係を示すことで,旋回半径(舵角)と軌道差の関係を明らかにするとともに,一部の旋回行跡はその動物が特定の歩行に体を向けながら移動すること旋回時とはことなる軌道差が生じているという仮説を立てることで説明できることを明らかにした. 【目標3】昨年度までの解析を整理するために,慣性モーメントを最小にしながら旋回するという仮説を与え,その仮説に基づくと,軌道差が生じるとともに,前後肢の操舵比は荷重の逆比となるという流れで理論を修正した. 【目標5】四足歩行ロボットは歩行させることが重要な課題であり,本研究が目指す軌道差と重心位置の関係や慣性モーメントに対する考察を行えるものを実現することが肝要である.そこで,筋骨格系が持つ受動的な連動を考慮し,路面との相互作用によって関節や筋肉の自由度を大幅に低減する機構に基づいたロボットの設計製作を進めている.恐竜類のロボットを実現する前段階として,現在,その祖先であるワニの後肢ロボットを実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
目標1から4については,論文投稿可能なレベルの結果を得たので,今後学術雑誌への投稿を行う. 目標5については,受動的な関節や筋肉の連動を前提としたロボットの実現を引き続き目指す.具体的には,現在片側の後肢のみで確認した支持脚姿勢の維持に加え,両脚に拡張するとともに屈曲動作(遊脚)を再現する.
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染防止の観点から,出張が全くできなかったため当初支出を予定していた旅費が残ったことが理由である.次年度はコロナウィルス感染対策を施した上で出張し,共同研究や成果発表を行う予定である.
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