2020 Fiscal Year Research-status Report
A fundamental study on active stent moving by ultrasonic oscillation
Project/Area Number |
20K04395
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西澤 宇一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 産学官連携研究員 (80553221)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Venture Gentiane 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 卓越教授 (30538278)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ステント / レシーバ / 超音波 / 共振 / 医療・福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、体外からの超音波照射により血管内を作動する医療用アクティブ・ステントを開発するための基礎研究を行う。ステントは血管の狭窄部に留置され、狭まった血管を拡大する医療器具である。時間が経過するとステント周辺にプラークが蓄積する再狭窄の問題が生じる。アクティブ・ステントはプラークの蓄積予防に役立つ。アクティブ・ステントには超音波モータの駆動原理が応用されている。主な構成要素は超音波を受信するレシーバ部とステータとして機能するステント部であり、ロータの役割を血管内壁が担う。特に作動性能に影響を及ぼすレシーバ部の形状は、受信方法の違いから二種類が考えられる。一つは共振を利用する形状であり、もう一つは強い超音波振動を受信できる形状である。 これまでに、超音波モータの駆動原理を発展させアクティブ・ステントのための理論を構築してきた。また、共振を利用するアクティブ・ステントについて、レシーバ部の設計や試作したアクティブ・ステントの作動実験を実施してきた。結果として、共振の利用を考えたアクティブ・ステントに関する共振現象は確認できたが作動には至っていない。そのため、アクティブ・ステント作製のために必要な技術要素の多くはまだ明らかになっていないと言える。本研究課題では、先行研究を踏まえて共振利用とは別形状のレシーバ部を設計する。さらに、超音波の受信方法が異なる二種類の形状のハイブリッドについても研究を進める。レシーバ部の形状を工夫し、アクティブ・ステントの最適設計および擬似血管内における作動を目指す。今年度は、ハイブリッド形状に関する調査を数値解析により実施した。また、今後実施する実験の再現性を向上させるため、実験装置を再構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクティブ・ステントの主な構成要素は、超音波を受信するレシーバ部とステータとして機能するステント部である。レシーバ部の形状には、受信方法の違いから二種類を考えている。一つは共振を利用する形状であり、もう一つは強い超音波振動を受信できる形状である。先行研究では前者について調べており、本研究では後者の形状と両者のハイブリッド形状について研究を進める予定であった。しかし、出力の大きな超音波発信機の購入を保留したため、研究期間前半に予定していた後者の形状に対する実験が実施できなくなった。代わりに両者のハイブリッド形状に関する調査を数値解析により実施した。また、今後実施する実験の再現性を向上させるため、実験装置を再構築した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は出力の大きな超音波発信機の無償レンタルの目途がついているため、初年度にできなかったレシーバ部の設計及び超音波照射実験を繰り返し実施し、大きなエネルギを有する超音波振動を受信できるようなレシーバ部の形状を調査する。同時に、共振するレシーバ部の設計を数値解析で行い、ハイブリッド形状についてもさらに調査する。研究期間後半ではアクティブ・ステントを設計し、シリコーンチューブなどの擬似血管内で作動実験を実施する。 本研究の当初からの目的はレシーバ部の最適設計とアクティブ・ステントの擬似血管内における作動であるため、次のように研究を進める。レシーバ部の設計は振動実験により実施する。並行して、共振するレシーバ部の設計を数値解析により丹念に行い、ハイブリッド形状について調査する。また、実験で形状を絞ってから、共振するレシーバ部の詳細な評価をシミュレーションにより行う。結果を踏まえ、試作モデルとして通常の形状および共振も考慮したハイブリッド形状をそれぞれ作製し、両者に対して振動実験を行うことでレシーバ部の最適設計を進める。 研究期間の後半において、最適設計したレシーバ部とステント部を接続したアクティブ・ステントに対して振動実験を実施する。レシーバ部の設計の際に行った時と同様に評価実験やシミュレーションを丹念に行う。続いて、水中において超音波振動の効率と性能を調べる実験を行う。最終段階において、液中にある擬似血管内で最適設計されたアクティブ・ステントを用いて作動実験を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、海外で開催予定の国際会議に出席できなかったため次年度使用が生じた。 申請時の予定にはなかったが、研究に必要な3Dプリンタの購入に充てる予定である。研究分担者が所有する3Dプリンタは、頻繁に他の研究にて使用されることが分かったため占有できる3Dプリンタが必要であると判断した。 また、初年度に実施できなかった実験に必要な消耗品を購入する必要があるが、当初予定していた2年目の予算の用途に大きな変更はないと考えている。
|