2020 Fiscal Year Research-status Report
蔓植物を模倣した非協力的宇宙機捕獲のための絡付型超多自由度捕獲機構の研究
Project/Area Number |
20K04396
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 洋喜 東京工業大学, 工学院, 准教授 (90361120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロボット / 宇宙 / 軌道上サービス / 蔓 / 捕獲 / 接触屈性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,スペースデブリを始めとした,軌道上を浮遊する非協力ターゲットの捕獲を可 能とする,ターゲットの形状に対し適応的に絡みつく捕獲・把持機構の力学及び設計法を明 らかにすることを目的としている. 令和2年度は,本研究の1年目の課題としていた,浮遊ターゲット捕獲に適した絡みつきの力学と運動についての検討を実施した.植物の巻き付き原理である接触屈性についての理解を深め,これをスペースデブリ把持に応用するためのアルゴリズムおよび機構の基本構成について明らかにした.研究代表者は,植物の接触屈性は各細胞が刺激に対応して独自に成長することにより巻き付きを発現していることから,接触屈性を実現するアルゴリズムは群ロボットとの相性が良いことに着目し,スペースデブリに絡みつく多関節アームの各リンクを独立制御されるモジュラーロボットとし,デブリの大きさに合わせ容易に構成を変えられるシステムを提案した.本システムは,接触センサとアクチュエータを搭載した同形状のモジュラーリンクを連結して構成され,各リンクは自身及び,隣接リンクの接触情報のみを用いて独立に運動を行うことにより,全体的な巻き付き動作をデザインせずともターゲットの形状に合わせて巻き付きを実現している. 数値シミュレーションにより,本システムが植物の蔓の成長および接触屈性による巻き付き特性を持ち,浮遊しているターゲットに対して初期接触を与えるだけで,巻き付き把持を実現しうることを示した.さらに,ターゲットの形状と各リンク(モジュール)の形状が把持の可否に与える影響について明らかにし,機構設計の指針を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的である,浮遊ターゲットを捕獲に適した絡みつきの力学と運動についての検討を完了し,植物の接触屈性原理を再現可能な機構及び制御アルゴリズムを明らかにできたため.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降は,当初の予定通り令和2年度の成果に基づき,具体的なスペースデブリ捕獲機構の検討を行う.具体的なアクチュエータやセンサの選定,配置,およびこれらと組み合わせるべき機械構造について,シンプルな多関節リンクを始め,研究代表者の研究対象としているコンベックスばねやモーファブルビーム等の知見も含め設計を進める.また,その後は実用化に向けた実際の宇宙ミッションに耐えうる機構としての設計を明らかにする.本機構は,スペースデブリの捕獲のみならず,宇宙機の建設・補給等にも応用が可能であると考えており,これら想定される環境・ターゲットから設計要求をまとめ,これに合わせた設計手法とパッケージを検討する.さらに超小型衛星等を用いた軌道上実証手法についての検討も行う予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対応に伴う出張停止措置及び出校停止措置による試作・実験機会の減少のため,旅費,消耗品費に余剰が生じたことにより次年度使用額が生じた.これらを用いて,令和3年度以降の試作・実験の機会を当初計画より増やす予定である.
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