2020 Fiscal Year Research-status Report
免荷型空気式パワーアシスト装置の開発と身体負担メカニズムの解明
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20K04400
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高岩 昌弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (60243490)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免荷型 / パワーアシスト / 空気圧駆動 / 脇下支援 / 歩行支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会である我が国において,介護者の肉体負担軽減は大きな課題である。本研究では移乗介助動作を想定し,単純な持ち上げ動作に着目する。持ち上げ動作は膝を曲げたSquat法と,腰部のみを屈曲させるStoop法に大別され,厚生労働省は,腰痛予防の観点からSquat法による持ち上げ動作を推奨している。 一方,文献によると,持ち上げ動作において,対象物の重量が体重の15%以上になると,膝を曲げたSquat法から,膝を伸ばしたStoop法へと動作が無意識に移行することが知られている。Stoop法は腰部に大きな負担を強いるため,重量物の持ち上げ動作では意識的にSquat法による動作を心がけることが重要である。本研究では,出力/重量比の高い空気圧アクチュエータを用い,脇下から支援することでSquat法を阻害しにくい免荷型のパワーアシスト装置を構築した。本装置の下端部は装着者の靴側面に固定され地面と接しており,上端部は装具を介して脇下部と接している。本装置の総重量は約5.0 [kg]であるが,装置は免荷されているため,装着者の直接的な負担にはならない。また,本装置は,脇の下を持ち上げるだけであるため,身体への物理的拘束が少なく,Squat法を阻害することはない。アクチュエータにはワイヤー式の空気圧シリンダを新たに提案し組み込んでおり,本アクチュエータに関する基本特許を出願した。 単純持ち上げ動作における支援効果を検証するために上肢と下肢の各筋肉における筋電位計測と,モーションキャプチャーによる姿勢測定を行った結果,特に下肢の筋肉に対して大きな負担軽減効果を有することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載している今年度の実施内容は,提案する免荷型パワーアシストの構築とそれを構成する要素技術の開発と位置付けている。要素技術としてはワイヤー式空気圧シリンダーと小型サーボバルブの開発である。前者はシール技術に工夫をすることで空気漏れの問題を解消することに成功している。シリンダーロッドが無いため,コンパクト化を実現しており,本装置への組み込みを可能にした。一方,小型サーボバルブについてはサーボモータによりエアーチューブを挟み込むことで開口面積を変化させ流量を調整する仕組みを提案した。本バルブを用いて固定容量の空気タンクにおける圧力制御を実現できることを確認している。ヒステリシスの問題や5ポート化等が今後の課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,提案する免荷型パワーアシスト装置の制御性能の向上を目指すとともに,片側支援がもたらす影響の評価,ならびにそれを低減するための装着者自身の最適な使用方法の検討を行う。また,応用形態として,従来の単純持ち上げ動作だけでなく,片麻痺患者の歩行支援装置としての応用についても検討する。
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Causes of Carryover |
理由:消耗品である蛍光マーカーが3月に納品となり、支払が完了していないため。 使用計画:消耗品である蛍光マーカーの支払が4月に完了する予定である。
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Research Products
(5 results)