2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on recycle of positive electrode of Li-ion battery using pulse discharge with high voltage at atmospheric pressure
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20K04410
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 正志 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (40583985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳平 丈志 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10323213)
乾 義尚 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70168425)
平山 智士 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (70759274)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 大気圧高電圧パルス放電 / 正極部材 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大気圧高電圧パルス放電を利用したリチウムイオン電池の正極活物質のリサイクル手法を検討した。 この手法の実現性を確かめるために,まず,大気圧高電圧パルス放電装置を自作した。そして,その装置で大気圧パルス放電が発生することを確認した。 その後,18650形リチウムイオン電池の正極材を装置内に設置して放電させ,正極活物質の回収実験を行った。その結果,装置内に飛散した正極部材の粒子を放電後に回収することができた。さらに,回収した粒子の3次元レーザー顕微鏡による形状測定やICP発光分光分析装置による元素解析を行った。形状の測定結果から,正極部材の飛散には,高電圧パルス放電発生初期の高電界で加速したアルゴンイオンの衝突によるスパッタ効果よりも,放電がスパーク(火花放電)に遷移した後の高密度電流に起因した正極集電体のアルミニウムの加熱による溶解や多孔質体内部の残留気体の急激な膨張のほうが大きく寄与している可能性が高いことが推測された。また,元素解析結果より,正極活物質を構成するニッケル等の遷移金属を回収できていることが確認された。なお,スパーク放電に関してはシミュレーションにより,実験で観測されたようなスパーク放電への放電様相が裏付けられている。 また,提案された手法がラミネート型リチウムイオン電池に対して有効であることを確かめるために,上記と同じように放電実験を行い,回収した粒子に対してICP発光分析法による元素分析を行った。元素分析の結果より,回収した粒子は3元系の正極活物質であると断定され,ラミネート型リチウムイオン電池に対して大気圧高電圧パルス放電による回収手法が利用可能であることが確認された。 以上より,著者らが提案した大気圧高電圧パルス放電を利用した電池の正極活物質の回収手法は実現可能であることを実証することができた。
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