2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on electromagnetic bonding technology of integrated superconducting bulk for optimal magnetic configuration
Project/Area Number |
20K04413
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山岸 一人 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究教員 (10293177)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 集積型超伝導バルク / 光学的表面観測 / 高精度表面磁束密度分布測定 / 新しい分割加工技術 / 最適な接合技術 / 超伝導磁気軸受 / 回転試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,超伝導バルクを応用した非接触磁気軸受実用化の基礎研究を行っている.その目標の中で最も困難な技術的課題である,磁気的接合技術に関する問題が今回の研究の課題となっている.本研究実施初年度の目標は,『超伝導バルク接合部の形状検討』であり,研究実施計画に基づいて次の5項目について実施したので,それぞれの実績について報告を行う. 「①バルク接合部の光学的観測」:準備した数個の切断前の超伝導バルクに対し,外周部も含めたバルク全体の表面を光学的観測により,問題がないことを確認した.また,後述の④で提案された分割モデルの接合部についても同様な光学的観測を行い,問題がないことを確認した.「②バルクの磁束密度分布測定」:分割前のバルクを磁化した後,磁束密度分布測定を行った.この測定により光学的観測では見ることができないバルク内部の空隙の有無などについて確認できる.また,これらのデータは,③の電流密度(Jc)計算のための蓄積データとなる.さらに,④で提案されたモデルの分割後磁束密度分布も測定し,Jc計算のための蓄積データとし,最終的なモデル検討のデータとした.「③磁界解析によるJc計算」:②の測定で蓄積されたデータを使い,解析により電流密度の計算を行った.この時点で得られたデータは,分割前のバルクの磁束密度分布と,④で検討された基本モデルのものであり,それらのデータから電流密度の計算を行い接合状態の検討を行った.「④バルク接合部のモデル検討」:これまでの蓄積データと,以前行った接合部の研究によるデータから,いくつかのモデルを検討対象とし比較検討を行った.「⑤接合用治具設計・製作」:④のモデル検討から,いくつかのモデルに対応した接合用治具の設計を行った.なお,治具製作については,基本モデル用の治具は製作できたが,その他のモデルについては,計画の一部に遅延が発生したため,次年度行うこととした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初からコロナ感染症の流行により,社会生活全体が大きく滞ったこともあり,研究実施のスタートが遅れ一部の計画に遅延が生じてしまった.ただし,全てが滞ったわけではなく,ある程度の検討モデルパターンを残して,検討のためのデータを取得することができた.ただし,⑤接合用治具設計・製作について,設計は年度内に行うことができたが,すべてのモデルの治具製作については,次年度に行うこととした.これらの遅れによるいくつかの課題の遅延については,今後の取り組みで追いつく予定である.次年度以降,よりスピードアップして行うことで,最終的に,目標を計画通りに執り行うことが可能であると考えている. また,研究成果等の発表を行うための国内の学会や国際会議などがコロナ禍の影響により中止されたことなどもあり,発表することができなかったのが非常に残念であった.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究の進め方については,遅れているいくつかのモデル固定用治具の製作を早期に行い,同時に次に予定している『接合プロセスの提案』への取り組みを早期に実施する予定である.具体的には,形状検討モデルの基本モデル(先行研究で検討してきた立方体モデル)を比較対象として,これまで収集してきたバルク単体のデータと,固定用治具を使った新たな提案モデルの接合部について接合面の様子を光学的観測,磁束密度分布測定によって観察し,接合モデルとして最適なモデルの検討を進めていく.次にその最適形状での接合プロセスを提案し,作業条件を決定していく.これらの検討が想定より難しく,十分な結果が出せない状況の場合は,新たな接合モデルを提案し,検討を行うこととする.同時に,研究計画全体の進み具合の見通しを検討し,計画の修正を行うこととする.そして,コロナの影響が緩和され,学会等の開催が元に戻ってきた場合,得られた研究結果について,国内の学会や国際会議等において成果として発表を行っていきたい.また,関連分野の研究者達との意見交換によって研究の方向性について確認を行っていくことを考えている.
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