2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04415
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
矢野 浩司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90252014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00020503)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パワーデバイス / SiC / ワイドバンドギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SiC-JFETとSiバイポーラトランジスタのカスコードスイッチをフォトカプラーによって光パルスで駆動するスイッチングデバイス(Optically driven cascode switch:ODCS)を提案した。ここでカスコード中のSiバイポーラトランジスタとフォトカプラーの2次側のフォトトランジスタをダーリントン接続して実質的にバイポーラトランジスタを駆動している。この光駆動SiCカスコードスイッチを用い、ハーフブリッジのインバータ回路を試作した。まず、LTspiceを用いた回路シミュレーションにより、同光駆動SiCカスコードスイッチの基本的な電気的特性を確認した後、ハーフブリッジインバータ回路の動作をシミュレーションにより確認した。その後、実際に光駆動SiCカスコードスイッチを搭載したハーフブリッジインバータを試作した。その結果、インバータの出力波形において正弦波出力が得られ、インバータ回路の基本動作を確認することができた。前年度の検討で、インバータ回路動作においてODCSの損失が大きく回路の変換効率が低いことが課題となっていた。この原因は、一方のアームの光駆動SiCカスコードスイッチがターンオンする際に、他方のアームの非アクティブなカスコードスイッチ中のバイポーラトランジスタにすでに蓄積されていた電荷が放出され、一時的に上下のアームに貫通電流が流れるためであることがわかった。これを防ぐために非アクティブなカスコードスイッチにはゲート信号を入力せず、電荷が蓄積しないような駆動方式の変更を行うことにより、過電流の発生を除去することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の当初目標の通り、光駆動SiCカスコードスイッチ搭載ハーフブリッジインバータの運転試験を実施し、基本動作を確認できた。また課題となっていた、スイッチング時のアーム貫通電流の問題に対する解決策も得られたことから、当初目標に対し一定の成果が得られた。また新たに同カスコードスイッチの回路モデルを用いたハーフブリッジインバータの回路シミュレーションモデルを構築した。従って本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は本研究の最終年度であるため、最終目標である光駆動SiCカスコードスイッチを搭載した4kWのハーフブリッジインバータを試作し、連続運転での動作及び性能を確認する。また、回路性能をさらに向上させるためのカスコードスイッチの動作条件や同スイッチに使用されているSiCJFETの素子構造条件なども検討する。更に、よりコンパクトなパワーモジュールを目指した同スイッチの実装方法を構築する。さらに令和3年度に構築した光駆動SiCカスコードスイッチの回路シミュレーションモデルの精度を上げ、実用的な回路設計が可能なレベルのシミュレーションモデルを構築する。得られた成果は学会などで発表する。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な電源が、半導体不足等の影響で納期が不明だったため、翌年度発注するものとする。
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