2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of gas filling and arc discharge suppression mechanism effective for interrupting arc discharge at DC high voltage
Project/Area Number |
20K04421
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 清 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (60220638)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アーク放電 / 電気接点 / 電磁コンタクタ / 直流遮断 / 磁気吹き消し / インダクタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
直流高電圧回路を開閉する時に発生するアーク放電は、回路条件に依ってはアーク放電が消滅せずに電流の遮断が出来ない状態に陥ることがある。本研究では直流開閉器(スイッチ、電磁コンタクタ等)のアーク放電の抑制効果について研究を行った。 直流電流の遮断は、交流に比べ電流のゼロ点がないために難しい。そのため、磁気吹き消しによる消弧が行われることが多い。この場合、大電流よりむしろ小電流でアークの継続時間が長くなる現象が生じることが知られている。これは磁界とアーク電流との間に生じるローレンツ力が電流の大きさに影響されることに起因する。磁気吹消しによるアーク放電の抑制については、抵抗回路での報告例はあるが、インダクタンスを含む誘導性負荷回路での報告はほとんど無い。 本研究では、直流アーク放電における磁気吹き消し効果の影響を、主として100V、1~30Aの回路で磁気吹き消しのない場合とある場合について比較する実験を行った。その結果、磁気吹き消し無しの場合、インダクタンスが大きいほどアーク継続時間が長くなる傾向はあるが、それほど大きな影響はないことがわかった。しかし、磁気吹き消しのある場合には、誘導性負荷でのアーク継続時間が最大値(ピーク)となる電流値が小さい電流側に現れる臨界負荷電流(アーク継続時間が最大となる電流値)が存在することを確認した。誘導性負荷の場合にはこの臨界負荷電流値でのアーク継続時間が時定数一定の条件では、インダクタンス一定の場合より数倍長くなることが明らになった。 今年度は大気中での実験であったが、今後は周囲気体を水素やヘリウムなどの気体に対して実験を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直流アーク放電における磁気吹き消しとインダクタンスの影響について 、 主として直流 100Vの回路条件で調べた。その結果から、磁気吹き消し無しと有りの場合のアーク継続時間が、インダクタンスの値によって異なることが明らかになった。 さらに、ヘリウムや水素等の封入気体中での実験を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染の再拡大に伴う緊急事態宣言が発出されたことなどにより、当該研究を実施するために充分な時間がとれなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、磁気吹き消しによる直流アーク放電の抑制効果を抵抗負荷だけでなく、インダクランスを含む誘導性負荷での実験を行い、その影響を明らかにした。 しかし、実験は大気中での実験のみで他の周囲気体変化(例えば水素ガスなど)での実験は実施できていない。今後は、大気以外の周囲気体中での実験を行い、アーク放電の抑制効果について実験を行う予定である。また、直流専用の磁気吹き消し効果を利用した市販のスイッチについても回路条件や周期気体の影響を実験から明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのため国際会議の開催がⅠ年間延期された上にオンラインとなったため、旅費が発生しなかった。令和4年度は、日本国内で開催される国際会議での研究発表が決定している。さらに、実施できなかった実験を遂行することで計画通りに予算を執行する。
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