2022 Fiscal Year Annual Research Report
経皮トランスから人体に流れる高周波漏れ電流を抑制した経皮電力伝送システムの研究
Project/Area Number |
20K04423
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柴 建次 東京理科大学, 先進工学部電子システム工学科, 准教授 (10343112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高周波患者漏れ電流 / 高周波絶縁トランス / 人体インピーダンス / 空芯偏平型経皮トランス / 人体モデル / 巻線間容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては,漏れ電流を防止するための①高周波絶縁トランスの解析と実測,②複数の臓器が入った詳細な人体モデルを用いた場合の漏れ電流解析を中心に行った.①の高周波絶縁トランスについては,一次コイルと二次コイルの間の距離が巻線間容量との関係性と,トランス材質2種類における効率と巻線間容量の関係も明らかにすることができた.また,②の詳細な人体モデルを用いた解析においては,空芯偏平型経皮トランス(表面には最大厚さ10 mmの絶縁材料による保護を施したもの)を用いたものについて解析を実施し,高周波患者漏れ電流が9.98mAであり,想定よりも大きいことを確認した. 補助事業期間全体における成果としては,主なものとして,1.経皮電力伝送システムの実機を用いて,模擬人体を用いた高周波患者漏れ電流を実際に測定できたこと,2.電磁界解析によって,胸部―両足間の人体インピーダンス(成人男性,成人女性,子供,100k-13MHz)を明らかにできたこと,3.詳細人体モデルを用いた高周波患者漏れ電流の解析が可能になったこと,4.漏れ電流と低減させるための高周波絶縁トランスの設計を行ったことが挙げられる.1については,基本伝送周波数である400kHzに加え,30MHzまでの高調波を含めて実効値を測定し,7.68 mAであることを確かめた.2については,成人男性においては,400kHz時において約250Ωとなり,周波数が高くなるにつれて低下した.3については,身長162cm, 28臓器からなる女性モデルにおいて,有限要素法を用いて,SAR, 体内電界,放射妨害波,漏れ電流が同時に解析できるようになった.4については,巻き方,絶縁処理,フェライト材質を検討し,巻線間容量が4.4 pFの高周波絶縁トランスを試作できた.
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Remarks |
申請者が関与した医療機器のガイドライン:経済産業省,日本医療研究開発機構, 補助人工心臓用の経皮的エネルギー伝送システム 開発ガイドライン2023(手引き),2023年1月. https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/report_iryou_fukushi.html, (cited 2023-1-25).
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