2020 Fiscal Year Research-status Report
Control technology for improving robustness in underwater wireless power transfer
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20K04432
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
古川 裕人 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30238670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 弘樹 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (50413761)
経田 僚昭 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50579729)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ワイヤレス給電 / 負性抵抗 / パリティ・時間対称性 / 磁界共振結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,海水のような損失性媒質の環境下でワイヤレス給電システムのロバスト性を高める制御手法の開発を目標とする.すなわち,自律型無人潜水機などの海上あるいは海中の電力給電では,海水の高い導電率による電力損失の増加や潮流の変化による伝送カプラ間の距離の変動と相対的な位置ずれによる伝送効率および出力電力の低下が問題となる. このような問題点を解決するために,高いロバスト性を実現するワイヤレス給電装置の検討が種々行われているが,電力伝送距離が変動するような環境下であっても負荷に安定した電力を供給する制御手法は,未だ提案されていない.そこで,従来の手法とは観点の異なる制御手法として,パリティ・時間対称性の原理を応用したワイヤレス給電に着目した.この原理によれば電力伝送距離の時間変動に対して,最適な動作周波数が素早く一意に自己選択されるため,本研究課題の高いロバスト性の実現に最も適している. しかしながら,パリティ・時間対称性の原理は従来,無線高周波帯域で動作させる方式に多く採用されており,海水のような高い導電率の伝送媒質では伝送損失が著しく多くなり,パリティ・時間対称性の原理の有用性を活かすことができない.そこで,動作周波数を例えば20kHz以下の可聴周波数帯域とした場合であってもパリティ・時間対称性の原理による高いロバスト性を有するワイヤレス給電特性が実現できることを,結合モード理論に基づいた回路理論計算と給電回路の試作および検証実験の結果から確認した.また,任意の電力伝送距離に対する最適動作周波数が一意に決定される回路条件を明らかにした.これらの研究成果は,伝送カプラが電磁界エネルギー損失を生じない自由空間に配置された場合であるが,海水のような損失性媒質中にカプラが置かれた環境下の電力伝送特性や伝送効率特性を検討する上では重要な基礎特性となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
任意の電力伝送距離に対して,出力電力の平準化を実現するために,従来のワイヤレス電力伝送方式では,マイクロコンピュータ制御による回路パラメータの緻密な調整と装置の入出力信号間の相互通信の必要性から装置の応答性は制約を受けることが問題点として挙げられる.申請者は,これまで400Hz程度の超低周波領域で動作する高出力の磁界共振結合方式のワイヤレス給電装置の検討および試作・評価を行っており,海水中のワイヤレス電力伝送が90%を超える高効率で実現できることを確認している. この知見の基にスタンフォード大学のシャンフィ・ファン氏らの先行研究により提案されたパリティ・時間対称性の原理に基づく磁界共振結合回路を可聴周波数領域でも良好に動作させるとともに高出力電力が得られるように,パワーオペアンプを用いた負性抵抗発振の原理を応用したワイヤレス電力伝送回路に発展させた.この低周波領域で動作するパリティ・時間対称性の原理を応用した磁界共振結合方式のワイヤレス電力伝送回路の電磁界解析シミュレーションおよび等価回路計算を行って,広範囲の伝送距離間で高効率かつ高出力の電力伝送特性を実現する回路条件を導出した.さらに,回路試作および動作検証実験を行い,検討する回路の有用性を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目において設計・製作したパワーオペアンプを用いた負性抵抗発振回路を電力用半導体スイッチング素子を用いたスイッチングモードアンプに発展させ,低周波領域で動作するパリティ・時間対称性の原理に基づくワイヤレス給電システムを構築する.さらに,その性能(出力電力,電力伝送効率,伝送距離,負荷依存性)について評価し,海水中におけるワイヤレス給電の実証実験を行う.
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Causes of Carryover |
昨年6月に開催予定の国際会議The International Council on Electrical Engineering 2020にエントリーしていたが、新型コロナウィルスの流行によって中止になり,旅費および論文登録料が使用できなかった.これらの経費におよそ20万円を充てていたので,国際会議中止により,約20万円の残金が発生した次第である. この残金の使途として,今年度に予定している海水中におけるワイヤレス電力伝送実験に必要な消耗品(電子部品、機械部品等)の購入に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)