2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Linear Motor Standard Test Method
Project/Area Number |
20K04433
|
Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
平原 英明 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (50649209)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 修 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 教授 (00648925)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | リニア誘導モータ / 鉄損抵抗 / T-II形等価回路 / T-I形等価回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、リニア誘導モータの特性算定に適した等価回路を検討した。一般の回転形誘導モータでは、一次漏れリアクタンスと二次漏れリアクタンスの分離が不要なT-II形等価回路またはT-I形等価回路が用いられている。しかしながら、これらの等価回路の一次側および二次側には、厳密には鉄損分の抵抗が加わっている。回転形誘導モータにおいては、これらは値的にも小さいため無視しても問題ないが、回転形誘導モータよりも空隙が大きいリニア誘導モータの場合、励磁リアクタンスに対する一次漏れリアクタンスの割合が大きいため、この値は無視できないほど大きいと考えられる。 そこで、鉄損を考慮した厳密なT-II形等価回路およびT-I形等価回路の導出を行った。その結果、励磁リアクタンスに対する一次漏れリアクタンスの割合の小さいモータには、T-II形等価回路が適しており、励磁リアクタンスに対する二次漏れリアクタンスの割合の小さいモータには、T-I形等価回路が適していることが明らかとなった。リニア誘導モータの場合、励磁リアクタンスに対する一次漏れリアクタンスの割合は大きいが、励磁リアクタンスに対する二次漏れリアクタンスの割合は比較的小さい(二次導体がプレート形状のため)と考えられるため、特性算定にはT-I形等価回路のほうが適していると考えられる。T-I形等価回路を用いてLIMの始動推力を算定した結果、T-II形等価回路よりも鉄損の算定精度が向上し、始動推力の算定精度が向上することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T-I形等価回路を使用することにより、始動推力の誤差の原因であった鉄損抵抗の算定精度を向上させることができた。しかしながら、二次抵抗にはまだ10%ほどの差(定常運転が可能な回転円盤式リニア誘導モータの無負荷試験と拘束試験により算定した値との差)があり、当初計画以上の進展が有ったとは言えないと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
二次抵抗の差については、二次抵抗を測定するために使用している直流試験時の巻線温度と拘束試験時の巻線温度の差の影響によるものであると考えられるため、二次抵抗を拘束試験時の温度に換算する方法や拘束試験直後に直流試験を実施するなどの新たな方法を検討する予定である。二次抵抗の算定精度が向上次第、下記の算定法について取り組む予定である。 (1)簡易的な一相分の等価回路によって各相の平均電流と平均推力を算定する方法 (2)各相の非対称性を考慮した三相等価インピーダンスによって各相の不平衡電流と平均推力を算定する方法 (3)各相の不平衡電流に起因した推力脈動を算定する方法
|
Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初の研究計画で挙げた設備備品(ディジタル制御システムとその制御用パソコン)については、既に購入済みである。しかしながら、研究成果として、鉄損抵抗の算定精度は向上したが、二次抵抗の算定方法についてはもう少し検討が必要である。そのため、国際会議や国内の学会への論文投稿については、次年度以降とし、旅費については繰り越すこととした。また、現在供試機として使用している回転円盤式リニア誘導モータでは、円盤の偏心により推力脈動を正確に測定することができないため、これに代わる試験機として回転ドラム式リニア誘導モータ(回転形誘導モータの固定子を切断することにより作製)の整備を検討している。 (使用計画) 現有機器の回転形誘導モータの固定子を切断するための費用と2021年度の研究成果を発表するための学会参加費等に充てる予定である。
|