2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Control Performance Improvement by Using Multilevel Power Converters Focusing on the Voltage Levels and the Modulation Methods
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20K04439
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
名取 賢二 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70545607)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチレベル電力変換器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き2つの研究計画を進めたのに加え、最終年度に行う3つ目の研究計画の開始に向けた準備を行った。 1つ目の研究計画は、マルチレベル電力変換器のレベル数・変調方式に依存したデッドタイム誤差の抑制量についての定量的検証と、当該抑制量と制御性能改善効果との定量的関係の明確化である。研究計画の2年目である本年度は、昨年度の研究で理論的および実験的に明らかにした、レベル数・変調方式に依存したデッドタイム誤差の抑制量に基づき、その抑制量が制御性能をどのようにかつどの程度改善するかについて定量的な検討を行った。検討は制御性能として複数の指標を用いて行ったが、特に波形の歪みの改善による制御性能の改善効果を重点的に検討し、理論的および実験的な検証を行った。 2つ目の研究計画は、マルチレベル電力変換器のレベル数・変調方式に依存した分解能向上についての理論的および実験的検証と、当該分解能向上と制御性能改善との定量的関係の明確化である。研究計画の2年目である本年度は、レベル数・変調方式に依存した分解能向上のうち、昨年度の研究で明らかにすることができなかった空間的分解能向上についてまずは検討を行った。結果として、空間的分解能向上効果を実験的に明らかにすることはできなかったが、制御法を工夫することにより、時間的分解能・空間的分解能の両方の点で制御性能を向上させることが可能であることを明らかにし、これについて実験的に検証を行った。また、昨年度明らかにしたシステム上の制約による問題についてもその対応策を講じながら実験検証を行うことができた。 本年度の最後には、上記2つの研究計画について一定の成果を挙げたうえで完了することができたため、3つ目の研究計画の開始に向けて、上記2つの研究計画による成果をまとめ、相互にフィードバック可能な体制の構築に向けて準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、本年度は昨年度に引き続き2つの研究計画を進めたのに加えて、最終年度に行う3つ目の研究計画の開始に向けた準備を行った。 1つ目の研究計画については、当初の予定通り、デッドタイム誤差の抑制量が制御性能をどのようにかつどの程度改善するかについて定量的な検討を行った。検討は複数の指標で行うことができ、当初予定よりも多くの検討結果を得ることができた。 2つ目の研究計画については、昨年度予定していながら十分な検証を行うことができていなかった空間的分解能の向上について引き続き検討を行ったが、これを実験的に明らかにすることはできなかった。ただし、制御法を工夫することにより、時間的分解能および空間的分解能の両方の点で制御性能を向上させることが可能であることを明らかにし、かつこれについて実験的に検証することができた。これは当初予定とは異なるが、時間的・空間的分解能向上による制御性能改善については実現することができたため、一定の成果を挙げることができたと考えられる。 また、上記2つの研究計画を一定の成果を挙げた上で完了することができたため、次年度行う予定である3つ目の研究計画の開始に向けて、上記2つの研究計画による成果をま とめ、相互にフィードバック可能な体制の構築に向けて準備を始めることができた。 以上の結果から、2つ目の研究計画については当初予定していた通りの方法で成果を得ることはできなかったが、総合的に見て、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる令和4年度については、2年にわたり行ってきた2つの研究計画の成果としての知見に基づき、所望の制御性能を達成するためのレベル数と変調方式の最適な組み合わせについて検討するとともに、制御ゲインの設計方法を明確化し、実験によりこれらを検証する。 具体的に、まずは1つ目の研究計画で明らかにしたデッドタイム誤差の抑制による制御性能の改善効果と2つ目の研究計画で明らかにした分解能の向上による制御性能の改善効果がどのように関係しているかを明らかにし、所望の制御性能を得るために最適なレベル数と変調方法の選択方法を検討する。さらに、選択されたレベル数・変調方法における制御ゲインの設計法を明確化し、システム全体としての設計法を明らかにした上で、これについて実験検証を行う。 得られた成果については、すでに予定している国際会議での発表に加えて、国際会議や論文誌で積極的に発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由は、新型コロナウィルス感染症により、調査のための参加を計画していた学会がオンライン開催となったことや、発表を計画していた国際会議への参加をとりやめたことによって旅費や参加登録費が不要になったためである。 次年度は研究計画最終年度となるが、すでに国際会議(国内開催)に現地参加しての発表が決まっており、また各学会が現地参加での開催に戻ってきているため、それらに参加して成果発表するための旅費や参加登録費として未使用分を使用予定である。
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