2021 Fiscal Year Research-status Report
A research development of high step down ratio, high power density integrated hybrid DC-DC converter
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20K04440
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮地 幸祐 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80635467)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DC-DCコンバータ / 高降圧 / ハイブリッドコンバータ / スイッチトキャパシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は2020年度に試作したデュアルインダクタハイブリッドコンバータのチップの測定を行い、コンバータのとして24V入力1V出力のレギュレーション動作を確認した。ただし、スタートアップ回路及びキャパシタの直列抵抗の影響が大きく、効率は1.4A時に68.4%にとどまった。また、負荷応答についてはシミュレーションにより電圧変動は14%、制定時間は8.7改善されることを確認した。 本研究分野については分野全体の進展が極めて速く、ラダー型の主回路構成や負荷応答改善手法について当研究グループと同様のコンセプトの研究が発表が相次いだ。そのため、2021年度はさらに新規要素を検討することとした。デュアルインダクタハイブリッドコンバータでは入力電圧を投入するスタートアップ時に各フライングキャパシタの電圧が変動し、定常状態に収束するために数10usほどの時間がかかる課題があることが判明した。また、この変動時に各フライングキャパシタの電圧のバランスも崩れ、場合によっては耐圧を超過する危険性がある。この課題に対処するため、新たにスイッチトキャパシタコンバータ部分をもう1系統追加し、48V入力で対称動作させるシンメトリックデュアルインダクタハイブリッドコンバータを提案する。スイッチトキャパシタコンバータ部が2系統対称動作することで常にフライングキャパシタの電圧バランスが常に保たれ、スタートアップ時など入力電圧が急激に変化してもフライングキャパシタの電圧が高速に追従するため、スタートアップ時間が10usを切ることがシミュレーションで確認された。また、提案コンバータは2つのインダクタを同時に励磁することも可能なため、負荷応答に優れる特徴もあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度提案したコンバータの動作確認はでき、特許の出願ができた。また、学会への投稿も見通しがついており、順調に成果が出せる状態にある。ただし、提案コンセプトの負荷応答の実証までは至らなかった点については課題であるため、結果を設計にフィードバックする。とくにスタートアップ時の耐圧確保について十分検討を行う。 2021年度は負荷応答の改善について2つのインダクタを同時に励磁する手法が各研究機関から複数提示され、また主回路の構成もディクソン型以外にラダー型も登場した。また、当初予定していた入力電圧12Vより48V入力に対する需要が高く、48V入力1~2V出力への対応も必要となっている。ハイブリッドコンバータは完全に研究業界のトレンドとなっており、想定以上のスピードで各国で研究が加速し、当初立てた本研究計画、目標よりかなり進展したスペック、制御方式の開発を前倒しして検討、実施している状況である。また、この変化に対してうまく対応ができていると考える。具体的には、シンメトリックデュアルインダクタハイブリッドコンバータの提案や、48V入力対応のために0.18um 70V耐圧BCDプロセスへの切り替えを実施している。ただし、動作の効率や負荷変動の完成度については向上する必要がある。 今後は降圧比、降圧比以外に負荷応答およびスタートアップ、信頼性、並列拡張性などの機能・制御面で様々な進展がみられるものと思われ、また、さらなる大電流化、電流密度の要望も高い。これらの研究課題に柔軟に対処する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度であるため、上述した48V入力対応シンメトリックデュアルインダクタハイブリッドコンバータの試作設計と動作実証を目的に勧める。その際、2021年度で判明した課題について設計にフィードバックする。課題としては(i)スタートアップ時の耐圧確保と速度向上、(ii)効率の向上、(iii)負荷応答のさらなる改善である。 まず(i)の課題についてはパワースイッチをこれまで低電圧(5V耐圧)トランジスタのカスコード構成にしていたが、スタートアップ時の耐圧を確保するため、24V耐圧以上のDMOSを使用することにする。また、これまではゲートドライブ回路の電源をフライイングキャパシタから生成していたが、スタートアップ時にはフライングキャパシタは充電されていないため、スタートアップ回路を別途用意していたが、問題が生じた。今後は別系統の5V外部電源から別途生成することとすることでこの問題に対処する。スタートアップの高速化には提案のシンメトリック構成を利用することとする。 (ii)の効率向上のためにはフライングキャパシタの直列抵抗の影響がかなり大きいことが判明したため、その選定および実装について十分検討を行うこととする。また、パワースイッチやブートストラップ容量の寄生容量充放電損失も大きい可能性があるため、スイッチレイアウト構成の見直しを行う。 (iii)負荷応答について、2021年度では二つのインダクタを同時に励磁する機構は設けたものの、タイプIII位相補償PWMを使用していたため、制御回路の安定性を確保するために実際は二つのインダクタが同時に励磁される期間が限定されていた。このため、負荷変動を別途検知し、より長くこの期間を確保する制御を開発する。
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Causes of Carryover |
2020年度に研究目標を高めたために試作を見送り、2021年度において試作を実施したが、2020年度と2021年度の合計予算より試作外注費が少なかったため、次年度使用額が発生した。ただし、2022年度単体の交付予算では2022年度に予定している試作外注費用(LSI試作製造外注費、評価基板製造外注費、LSI実装外注費)に満たないため、この次年度使用額を充てる予定である。従って次年度使用額は研究遂行のために必要不可欠である。
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