2020 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール・マルチフィジクスモデル縮約による高精度モータシミュレーターの開発
Project/Area Number |
20K04443
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 哲司 京都大学, 工学研究科, 教授 (20238976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 賢悟 近畿大学, 理工学部, 准教授 (50718963)
高橋 康人 同志社大学, 理工学部, 准教授 (90434290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / シミュレーション工学 / モデル縮約 / モータ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) マルチスケールモデル縮約法の開発 機器スケールモデル縮約手法(CLN法)に材料スケールモデル縮約法(均質化法)を組み込んだ。まず,積層鉄芯の均質化手法を有限要素磁界解析に組み込んだ定式化を行い,次にそれをCLN法によりモデル縮約する手法を開発した。これにより,材料特性として均質化法を外部参照することなく等価回路の回路パラメータに直接反映させる手法を実現した。電流電圧特性のみならず積層鉄芯内を含む磁界分布を正確に再現することに成功した。 (2) パラメータ依存モデル縮約法の開発 磁気飽和は内部諸量に依存して材料特性が変化する現象の一種であり,これを内部パラメータに依存して縮約モデルを変化させる手法として記述することで,パラメータ依存モデル縮約法の定式化を実現した。パラメータの変化によって基底ベクトルが変化する影響を,パラメータ依存項として厳密に表現することに成功した。磁気抵抗率または微分磁気抵抗率を1次電流依存とすることに非線形性を表現し,その回路方程式を導出した。本手法により,非線形電磁機器を精度よくモデル縮約することを可能にした。 (3) 誘導モータのビヘイビアモデルの開発 マルチポートCLN法を用いてかご形誘導モータのビヘイビアモデルを導出し,ギャップ磁束密度の適切な空間高調波選択法を提案した。また,導出したビヘイビアモデルを制御系連成回路シミュレーションに適用し,始動時の過渡現象解析を空間高調波・キャリア高調波による影響含めて高速・高精度に実施可能であることを明らかにした。 (4) 積分法方程式による電磁界解析にもCLN法が適用可能であることを示すことを目的として,その第一段階としてマルチターンコイルの2次元断面問題にCLN法を適用した。分離した各モードをマルチポートとして扱い制御電源を介して,モード間の結合を考慮する方法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) マルチスケールモデル縮約法の開発,(2) パラメータ依存モデル縮約法の開発,(3) 誘導モータのビヘイビアモデルの開発 (4) CLN法の積分方程式法への適用 の4項目について当初の目標を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 誘導モータ解析の非線形化を実現する。電源電流,電源磁束,空隙部磁界,空隙部磁束などをパラメータとして飽和度を表現する。小さなパラメータ次元で精度よく飽和度を表現する手法を開発する。まず,固定子の非線形化を実現するとともに,均質化法を組み込むことで鉄芯の損失評価を可能にする。 (2) 空隙部高調波成分の数を削減した簡易モデルを開発する。空間高調波数を削減しながらトルクなどの平均量の計算精度を維持する簡易モデルを構築するために,各空間高調波成分の影響を明らかにする。 (3) スキューを考慮したマルチポートCLN法に基づくかご形誘導モータのビヘイビアモデルを導出し,その有効性を検証する。 (4) モータ実機との比較を行うための測定システムを構築する。 (5) 2020年度に構築したマルチターンコイルのCLN法を誘導加熱問題に拡張し,熱と電磁場のマルチフィジクス化の手法を開発する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で旅費が大幅に減額になり,また,在宅で実施可能な理論面の検討や現有のノートPCによる数値解析的検討を進めたため,経費が大幅に減額になった。今後,計算力を向上するための経費に計上し,またコロナ禍の状況改善後に旅費を増額する予定である。
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