2020 Fiscal Year Research-status Report
損傷原子炉想定環境下にあるケーブル絶縁体の劣化メカニズム探索研究
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20K04459
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| Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
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Principal Investigator |
樫根 健史 鹿児島工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (60332110)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 文裕 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 助教 (10804693)
菊池 崇志 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30375521)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 絶縁体材料劣化 / パルス放射線 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、福島第一原子力発電所の廃炉作業を加速すべく、汚損したケーブル絶縁体への高線量放射線照射による材料劣化の特性を評価し、そのメカニズムを解明することを目的としている。
研究実施初年度となる2020年度は、損傷原子炉を想定した水蒸気環境を実現するための実験容器の設計製作、および、この実験容器内に配置したエナメル電線試料への電圧印加による部分放電発生状況の調査を行った。さらに、本研究における被測定対象となる汚損した機器ケーブルに関する情報収集を行った。
水蒸気環境実現のための実験容器の製作およびエナメル電線試料での部分放電発生状況調査については、進捗に若干の遅れが生じたものの、ほぼ予定通り行え、今後の研究に必要な多くの知見を得ることができた。なお、これらの結果については、3月開催の電気関係学会にて報告している。しかし、当初予定していた恒温恒湿器の整備が諸事情によりできていないため、先の実験容器を用いた実験結果との比較検証ができていない状況にある。
水や海水などの水分が付着・浸透した状態の汚損した機器ケーブル（コンタミネイトケーブル）の作製については、関係資料や情報を収集し、必要な部材を準備している。また、このケーブル試料に照射する高強度放射線については、研究分担者の所有する大強度パルス発生装置（長岡技術科学大学設置）にて高強度パルス放射線を発生させることができるため、現在、試料への照射に向けた準備を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である2020年度においては、次年度に予定している実証実験の実施に向けて、必要な機材・機器の整備および構築を中心に作業を進めた。しかしながら、今般の緊急事態宣言発出等に係る社会情勢において、設備導入のための部材等の確保に時間を要したため、2020年度内において実験実施に必要なすべての機材を整備することができず、この作業の一部を次年度に持ち越すこととなった。なお、この遅延分については、2021年度初頭で回復できるため、本研究全体を通しての研究の遅れはないものと考えている。
その他の実証実験に向けた体制整備等については、研究分担者との連携を密にとり、順調に進行している状況である。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗に若干の遅れが生じているが、研究計画を変更する程の影響はないと考えている。
2021年度においては、年度当初において必要な機材を整備し、これらの整備された機器類を用いて実証実験を行い、各種データを取得する。ここでは、課電中のコンタミネイトケーブルに高強度放射線を照射し、部分放電など材料劣化に起因する破壊現象を高速度カメラ撮影および分光計測等において直に観測し、絶縁体の劣化要因を探る。なお、部分放電などの高速現象を観測するための遅延パルス発生器が必要であるため、これらを新規に整備する予定である。
さらに、得られた結果に基づく計算コードの開発を行い、実験や分析により得られたパラメータを組み込んだ数値解析を行う。この数値解析には、照射放射線の線量率・エネルギーや材料のイオン化エネルギー等の情報が必要であるが、これらは実験・分析結果から得られたものを利用する。
研究過程において得られた結果および成果等については、適宜、学術雑誌への論文投稿や関連学会での発表を行い、広く公表する。
2022年度においては、これまでの状況を踏まえつつ研究を行い、損傷原子炉特有の状況下での絶縁材料劣化モデルの構築とそのメカニズムの解明に向けて、研究分担者とともに取り組む。
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| Causes of Carryover |
2020年度において、研究に必要な機材である恒温恒湿器の購入を予定していた。しかし、今般の緊急事態宣言発出等に係る社会情勢において、設備導入のための部材等の確保に時間を要したため、購入については2021年度へ持ち越すこととなった。なお、この恒温恒湿器については、購入する機器の仕様が既に決まっているため、2021年度の早い段階で配備できる見込みである。また、恒温恒湿器以外の研究に必要な物品および旅費等については、社会情勢を踏まえつつ、研究に遅れが生じないよう使途する。
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