2023 Fiscal Year Research-status Report
Advanced Theory for Highly Reliable and Secure Coding Systems
Project/Area Number |
20K04462
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
八木 秀樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60409737)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 情報理論 / 符号化 / 情報セキュリティ / 情報源符号化 / プライバシー保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報セキュリティのための符号化問題として,プライバシー保護を目的とした情報源符号化問題を扱った.この問題では,情報源系列が (i) 第三者に公開されても構わない情報(公開情報)と (ii) プライバシー保護の対象となる情報(プライバシー情報)から成ることを想定して,復号器に対してプライバシー情報の漏洩量を定数以下に抑えつつ復元された公開情報の歪が定数以下になるようにする.前年度までの研究により,符号器に入力される情報が公開情報に加えてプライバシー情報の一部から成るときに,符号化レート,公開情報の歪測度,プライバシー情報の漏洩量の間のトレードオフ関係を示した.ここで歪測度は,公開情報と復元情報の間の歪の期待値(期待歪み)で測ることを想定している. 令和5年度の研究では,歪測度を公開情報と復元情報の間の歪が定数を超える確率(歪超過確率)で測ることを想定して,定常無記憶情報源に対しては,平均歪みで測ったときとトレードオフ関係が変わらないことを示す定理(強逆定理)を導出した. 従来の問題では,復号器や第三者に対するプライバシー保護を議論しているが,応用によっては符号器に対してもプライバシー情報の漏れをできるだけ抑えることが求められる.そこで,符号器に対するプライバシー保護の観点を導入した新たな符号化問題を提案した.定常無記憶情報源に対して,符号化レート,公開情報の歪測度,プライバシー情報の漏洩量の間のトレードオフ関係を特徴づける符号化定理を導出した.この定理を用いると,歪みの許容量とプライバシー情報の漏洩量を固定した時の,最小の符号化レートの公式が得られる.この公式は,系列長に依存しない形式で最小の符号化レートを特徴づけられることを示している. 上記の研究の他,可変長のResolvability問題や生体識別システムにおける符号化システムに対しても最適な符号に関する性能解析を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究成果は,本研究で対象とする乱数生成問題と情報源符号化問題の関係の解明に繋がると考えている.この結果からおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
情報源からの出力を二つの端末でそれぞれ観測して,乱数を共有する乱数共有問題を主な研究の対象とする.特に無線通信システムにおける応用を意識して,雑音が生起する通信路を介してできるだけサイズ(生成レート)が大きい乱数を共有することを目的とした問題を扱う.これまで行ってきた乱数生成問題における解析結果をベースにして,乱数生成レートの最大値について解析する.無線通システムにおける低速フェーディング通信路は混合通信路としてモデル化されるため,混合通信路に対する解析手法を応用して乱数生成レートの最大値を解析する予定である.また,プライバシー保護等の情報セキュリティを目的とした符号化システムにおいて,強い安全性を効率的に実現する符号化の開発に応用することを目指す. また上記の結果を用いることにより,情報セキュリティを目的とした符号化システムにおいて強い安全性を効率的に実現する技術に応用することを目指す.
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Causes of Carryover |
予定していた物品購入の必要が無くなり,また成果発表のために出席する国際会議を変更した.繰越金は令和6年度の成果発表のための旅費として支出する予定である.
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