2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of CubeSat standard composed full SDR
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20K04488
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
三橋 龍一 北海道科学大学, 工学部, 教授 (90254698)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CubeSat / SDR / 無線通信システム / 筐体型アンテナ / ISS / きぼう / J-SSOD / イプシロンロケット |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究は、新型コロナウィルス影響下での研究環境の構築から開始し、オンライン環境での研究推進が可能である体制を構築した。無線通信システムを開発する研究であることから、オンラインミーティングだけではなく、回路図設計や筐体型アンテナのCADデータ等の共有が想定以上に有効であった。 設計したプリント基板の製造もプリント基板ネット通販を利用し、3DCADで設計した展開しない筐体型アンテナは、学内の3軸加工機や5軸加工機を使用することにより、試作と試験の両方が可能な環境を実現した。 これらの研究実績が民間企業にも注目され、2020年8月27日には北海道のEDIプロバイダである㈱イークラフトマンと宇宙商社であるSpaceBD㈱の間でサービス契約「北海道科学大学にISS(きぼう)から超小型衛星放出サービスを提供」がプレスリリースされた(https://space-bd.com/news/20200827.php)。さらに、このプレスリリースは世界最大級の宇宙関連ニュースサイト(SpaceWathch)の1面にも掲載され(https://spacewatch.global/2020/09/space-bd-to-provide-the-smallsatellite-deployment-service-from-iss-to-ecraftman-and-hokkaido-university-of-science/)、国内だけでなく海外からも注目されるようになった。 これらの実績により、CubeSatの開発を行っている他機関からの問い合わせが多く寄せられ、直近では、2022年の秋に打ち上げ予定のJAXAのイプシロンロケットへの相乗り衛星にも、研究成果の一部を提供することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍でのオンラインを主とする研究環境の構築がほぼ完了した。オンラインミーティングは、対面式のミーティングと比較して、無線通信システムの外部エンジニアの参加のハードルが低くなり、第一線で活躍しているエンジニアとの共同作業が容易になるメリットがあり、この点が当初の計画以上に研究が進展する要因になっている。さらに、回路図設計や筐体型アンテナのCADデータの共有に抵抗感が少なくなったことも研究推進の面で有利に働いた。 コロナ禍においては多くのIT関連企業の業績が好調であり、CubeSat打ち上げ資金の提供を申し出たIT企業と宇宙商社のSpaceBD㈱の間で、開発中のCubeSat打ち上げの正式契約を締結することもできた。この件に関するプレスリリースは、国内のみではなく海外にも注目され、世界最大級の宇宙関連ニュースサイトの1面でも紹介され、大きな話題となった。 その結果、国内でCubeSatを開発している機関から注目されるようになり、2022年の秋にJAXAのイプシロンロケットで打ち上げられる予定の「革新的衛星技術実証3号機」に相乗りするCubeSatへ本研究の成果の一部技術を提供することになった。このことは、2021年3月24日に始動した「星のかけらプロジェクト」(https://sites.google.com/view/stars-x)と呼ばれ注目されている。研究代表者は、6基のCubeSatのうち2基を開発することになっており、1基は単独、もう1基は北海道教育大学との共同開発であり、それら以外にも無線を使用する衛星の開発に協力している。 本研究の成果の一部として確立した技術は、2021年度の「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」の採択にもつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発するCubeSat通信システムを搭載したCubeSatの地球周回軌道上での実験は、J-SSODによる国際宇宙ステーション放出の正式契約を行ったことにより、現実に可能な状態となった。さらに、2022年の秋に打ち上げられるイプシロンロケットの相乗り衛星を活用した「星のかけらプロジェクト」にも参画することが決定したため、複数基のCubeSatで、本研究で研究開発を行っている無線システムの実装と、軌道上での実証実験を行うための開発を積極的に行う。 本研究の内容については、宇宙工学分野では話題となっており、日本で開催される宇宙関連の講演会では最大である宇宙科学技術連合講演会(2021年11月9日~12日)(https://branch.jsass.or.jp/ukaren65/)では、本研究代表者がオーガナイザとしてオーガナイズドセッション(OS35 未来につなげる「星のかけらプロジェクト」の企画が採択された。 本研究の着実な遂行と共に、宇宙関係の研究者だけでなく、広く一般の方々への広報活動を続け、日本の未来を担う子供らに科学技術への興味を持つきっかけとなる啓蒙活動としても展開していく予定である。
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Causes of Carryover |
発注予定の物品が品不足(世界的な半導体不足の影響)のため、注文を受け付けていないため。
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