2021 Fiscal Year Research-status Report
リフレクトアレーを用いた新方式衛星通信用アンテナの開発
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20K04491
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
牧野 滋 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40393524)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リフレクトアレー / 衛星搭載用アンテナ / マルチスキャニングビームアンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マルチスキャニングビームによりサービスエリアをカバーするリフレクトアレーを用いることによりTx,Rxをそれぞれ1式のアンテナで構成する新方式の衛星通信用アンテナを提案し,その実現性について研究している.2021年度においては,下記の研究成果を得た. (1)偏波によってビーム方向を変えるリフレクトアレーとして,従来は2層構造の反射鏡面と複数の直線素子とを組み合わせたものが検討されていた.2層構造の反射鏡面の場合には反射損失が大きいことをシミュレーションにより明らかにするとともに,1層構造で実現できる素子形状について検討し,(a) 直線状素子,(b) スプリット矩形ループ素子,の2種類の素子形状を考案した. (2)(1)で考案した2種類の素子形状で構成したリフレクトアレーを12GHz帯で試作,測定した.その結果,いずれも偏波によって所望の方向にビーム方向を変えることができることを確認した.また,両者を比較したところ,(a)の開口能率(利得)は(b)よりも高いことが確認された.位相誤差による利得低下は(b)の方が小さいものと考えられるが,反射損失が(a)の方が小さかったためと思われる. (3)30GHz帯において,500㎜の開口径を有するマルチスキャニングビームを試作した.V,HのビームがAz方向でそれぞれ所望の方向に放射していること,いずれの偏波のビームも,周波数によりEl方向で所望の方向にビームシフトしていることが確認できた.しかし,H偏波の開口能率(利得)が解析値よりも低いことがわかった. (4)リフレクトアレーの周波数帯域を画期的に広くする方法を考案,特許出願した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,マルチスキャニングビームの試作を2022年度に予定していたが,1年前倒し,2021年度に実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の試作,測定により,下記の問題点が明らかになった. (1)アンテナの能率低下の原因として,これまでは位相誤差のみについて検討していたが,反射損失も無視できないことがわかった. (2)マルチスキャニングビームの試作結果より,H偏波の開口能率が低いことがわかった. これらは,シミュレーションでは見られなかった結果であり,その原因を詳細に検討し,改善したいと考えている.また,特許出願した広帯域化の案についても,研究を進める.
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Causes of Carryover |
国内外での学会発表を計画していたが,新型コロナの影響により,すべてがオンライン開催となり,旅費が発生しなかった.次年度には,シミュレータのライセンス数が不足しているため,そのレンタルを予定している.
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