2020 Fiscal Year Research-status Report
サニャック干渉計を用いた永久磁石材料の表面磁化評価用超高感度カー効果測定系の開発
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20K04498
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 豊 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00260456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁気光学カー効果 / 磁気光学ファラデー効果 / 磁性薄膜 / サニャック型干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めにKapitulnikが提案したサニャック型干渉計を応用した磁気光学効果測定法の原理確認を行った。干渉計を構築し、光路内に大きな磁気光学効果(ヴェルデ係数)を示す物質であるテルビウムガリウムガーネット(TGG、長さ1cm)を挿入し、透過型(ファラデー型)配置でテストを行った。干渉計出口側では干渉はダークフリンジとなり光強度は極めて小さいが、TGGに永久磁石によりキロガウス程度の強い磁場を印加すると干渉計の右回り光と左回り光に位相差が生じ、destructive interferenceの条件が破れて出口側にも光が観測された。この変化は目視でも確認できるほどの大きな変化であり、システムは正常に動作することを確認した。次により定量的に動作確認を行うために、小型ヘルムホルツコイルを作製し、これによりTGGに磁場を印加して、干渉光強度の変化を測定した。入力レーザー光にオプティカルチョッパーで数百ヘルツで強度変調を施し、出力光はpinフォトダイオードにより電気信号に変換してロックインアンプにより測定した。TGGにはヘルムホルツコイルにより16ガウスが印加され、これによるファラデー回転角は7.4分程度と見積もられる。しかし今回の測定系ではこれによる干渉光強度の変化はノイズに埋もれ検出できなかった。(7分程度の偏光回転角は偏光子を用いた通常の磁気光学効果測定法でも充分に検出可能な回転角である。)この原因として次のような理由が考えられる。現在の測定系ではdestructive interference状態からの変化を測定しているが、この部分はファラデー回転角が生じても光強度の変化はなだらかでであり、測定にかかりにくい。より変化が大きい領域を使った測定系への改良が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はコロナウイルス感染の拡大防止のためにキャンパスに入構できない期間が長く続いた。これに加えて10月ころから実験室が設置されている建物の一部で大規模な改修工事が行われ、これにより断続的に粉塵が発生したために、汚染防止のため光学実験装置を密封せざるを得ない状況になり、年度後半は実験を行うことが出来なかった。このため研究計画に大幅に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
検出感度を上げるため以下の2つの改良を行い、比較する。(1)干渉計内にファラデー回転子を導入し右回り光と左回り光に初めから位相差を作り、干渉計出力側での光干渉をdestructive interference条件からずらして、光が出力されるようにする。干渉計出力側と入力側から光を取り出し差動測定を行う。(2)干渉計内に電気位相変調器と偏波保持ファイバを挿入して右回り光と左回り光の間に高周波で変調された位相差を与え、出力光を高周波ロックイン測定を行う。(後者がKapitulnikが最終的に使った方法である)差動型配置による測定と、電気光学変調器を用いた高周波測定を比較してどちらがより高感度な測定を達成できるか検討を行う。
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