2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of long-range, high ranging resolution and crosstalk-free LiDAR by FMCW method
Project/Area Number |
20K04501
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
飯山 宏一 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (90202837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光計測 / 光距離計測 / レーザレーダ / 光イメージング / FMCW / 光周波数掃引 |
Outline of Annual Research Achievements |
光周波数が掃引されたレーザ光を用いるFMCW光距離センサを用いて,測定距離200mを実現するFMCW LiDARに関する研究を行った。本システムは,参照光と測定物体からの反射光の干渉信号を周波数解析することにより距離を求める方法である。200m遠方からの反射光に対しても干渉を得るため,光源には干渉性の高い外部共振器レーザを用い,その注入電流変調により光周波数を掃引した。本システムでは光周波数を時間に対して完全に線形に掃引することが不可欠であるが,実際には光周波数掃引に残存する非線形性のために,距離測定精度が大きく劣化する。そこで,補助干渉計を利用したk-サンプリング法の採用により,光周波数掃引の非線形性の影響を除去した。 まずは比較的遅い変調周波数(200Hz程度)で測定を行い,空間距離で200m遠方の建物の壁からの反射光による干渉信号を,SN比20dBで得られることを示した。距離測定精度は5cmを実現した。 このシステムをLiDARに用いるためには,測定時間の短縮が必要であるため,変調周波数の高速化の基礎実験を行った。この実験では短い距離の測定を対象としているが,高速のAD変換器の導入により,変調周波数20kHzでも測定可能なシステム開発に成功した。現在,このシステムを長距離のLiDARに適用させる検討を行っている。 一方,kサンプリング法では光学系が大規模になり,特に車載LiDARとするには問題がある。そこで,光学系の簡略化を目指し,半導体レーザの光周波数掃引の線形化にも取り組んだ。この方法は,k-サンプリング法を利用するが,サンプリングするのは干渉信号ではなく変調波形であり,サンプリングした変調波形を新たな変調波形として用いる方法である。この方法により,現在のところ10kHzの変調周波数であっても光周波数掃引が線形化できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,FMCW光距離センサを用いたFMCW LiDARにおいて,測定距離200mを実現することを目的としている。現在までの成果を従来と比較すると,以下となる。 ・長距離測定の実現:干渉性の高い外部共振器レーザを用いることにより,測定距離200mを実現した。また,k-サンプリング法を利用することにより,200m遠方においても距離測定精度5cmを実現した。 ・高速化:光周波数掃引の変調周波数の高速化に関する基礎検討を行い,短い測定距離を対象としているものの,20kHzまでの変調周波数での距離計測を実現した。この変調周波数は,当初の変調周波数200Hzの100倍高速である。変調周波数が高速化すると,信号処理時間が全体の測定時間を律速する。そのため,信号処理のタイミングの変更と並列演算の利用により,測定距離は短いものの,従来と比べてシステム全体として10倍の高速化を実現した。 ・光学系の簡略化:半導体レーザの光周波数掃引を線形化する課題にも取り組み,変調波形の最適化により光周波数掃引の線形化を実現した。 以上より,本研究の目的を着実に実現していることから,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,測定精度の向上と高速化の実現に関して研究を行う。 令和2年度に実現した,短い測定距離における変調周波数の高速化手法を,長距離FMCW LiDARに適用し,測定時間の短縮を目指す。信号処理のタイミング,コア数の大きなCPUを用いた並列演算数の増加に関して研究を行う。 LiDARにより周辺状況のイメージングのためには,レーザ光を空間的にスキャンする必要があり,ビームスキャナを用いる。高速イメージングのためにはビームスキャナの動作速度の向上が必要である。現在はビームスキャナをステップ状に動作させているが,機械的部品であるために過渡応答が遅く,動作速度には限界がある。そこで,ビームスキャナを連続動作しながら干渉信号を取得する方法を実現し,システム全体の高速化を目指す。具体的には,200×200点の測定で1秒の測定時間を目指す。これは,現在の測定時間の10倍以上高速である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が828円と極めて少額であるため,物品購入等が不可能であった。 令和3年度予算に合算して,消耗品購入に使用する。
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Research Products
(4 results)