2023 Fiscal Year Annual Research Report
濁度によらない新しい動的光散乱測定技術の高分解能化および周波数領域拡張の実現
Project/Area Number |
20K04505
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
高木 晋作 東京都市大学, 理工学部, 講師 (70386358)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動的光散乱 / 二重ロックイン検波 / 多重散乱 / 光強度変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
測定系の周波数分解能の向上をはかるため、光学系の改良に取り組んだ。2本の励起光のうち一方に強度変調を加えて干渉縞の明滅を実現する目的で、光チョッパーにより明滅周波数を数Hzレベルまで遅くして二重ロックイン検出を図った。二重ロックイン検出技術の信号処理法について再考した結果、現状の「移動干渉縞によるコロイド試料の拡散運動の励起」にこだわった場合、うまく二重ロックイン検出技術を適用できないことが判明したため、「明滅する移動干渉縞」の使用を断念し、「明滅する固定干渉縞によるコロイド試料の拡散運動の励起」に方針転換することにした。(物理学会2021春で発表) しかし、固定干渉縞での二重ロックイン検出では干渉縞の明滅により励起される拡散運動は縞の移動方向が指定されないため、複素スペクトルの周波数の正負が弁別不可能になる。そのため、本来複素スペクトルとして観測されるべきところ、パワースペクトルと等価な単一成分のスペクトルとして観測されることが理論的に予測された。(物理学会2022春で発表) 上記予測を実験的に検証したところ、明滅する固定干渉縞は高分解能化を可能にする反面、スペクトルからは位相情報が失われるため多重散乱除去能が損なわれることが明らかになった。 この検証過程で、非イオン界面活性剤/水/ヘキサノール系の複素スペクトルを詳細に解析していたところ、この系のスペクトル解析には誘電緩和分光で用いられるDavidson-Cole型関数を用いることが可能であることが偶然に見出された。そのCole-Coleプロットは誘電緩和とは異なり実軸対称のレム二スケート型を示した。(物理学会2023春で発表) Davidson-Cole型関数は緩和時間に分布がある場合に用いられるため、非イオン界面活性剤/水/ヘキサノール系の拡散時間分布を解析し、拡散時間の上限を評価した。(物理学会2024春で発表)
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