2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of an ubiquitous diagnostic system of trombosis available at the time of emergency disaster
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20K04507
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
横井 直倫 旭川工業高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (60353223)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 計測工学 / 血流評価 / 血栓症診断 / フラクタル / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に構成する血栓可視化・血行動態分析用センサユニットを用いて血栓の検出および血流速度、ストレス状態、血液粘度、血液濃度変化の解析を実施し、これらの結果をWi-Fi環境を介して関係医療機関で共有し、医師による血栓症治療法の選択を支援できるユビキタスな血栓症診断システムを開発することを目的として遂行された。 令和2年度は、まず波長が780nmおよび830nmのファイバーレーザーを光源とし、これらを血液あるいは皮膚血流に照射した際に形成される2波長のスペックルを干渉フィルタおよびレンズを介して2台のCCDカメラで同時に撮影できるリストバンド式のセンサユニットを構成した。 次に、このセンサユニットで取得したスペックルパターンに対してフラクタル解析に一般的に用いられているボックスカウンティング法を適用することにより、スペックルパターンのフラクタル次元を算出し画像表示できるソフトウェアを科学技術計算用汎用アプリケーションMATLABを用いて開発した。 さらに、このセンサユニットで取得したスペックルパターンのコントラストの逆数値に基づく血流評価パラメータであるRSD(Reciprocal Spatial Difference)により、血流速分布を撮影機器のフレームレートで可視化した上で脈波解析を行い、得られた脈波信号に基づいてストレス状態と血液粘度を定量評価できるソフトウェアをMATLABにより開発した。その上で、本ソフトウェアに基づく血液粘度の評価結果の妥当性を血液粘度計により検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、血栓可視化・血行動態分析用センサユニットの構成に関しては、2波長のレーザーを血液あるいは皮膚血流に照射した際に形成される各波長に対応するスペックルパターンを干渉フィルタとレンズを介して2台のCCDカメラで毎秒30コマのフレームレートで個別にかつ同時に撮影できる、リストバンド式のセンサユニットを構成することができた。 また、血栓検出のためのソフトウェアの開発に関しては、ボックスカウンティング法に基づきスペックルパターンのフラクタル次元を算出し画像表示できるソフトウェアをMATLABにより開発することができた。 さらに、血流速度、ストレス状態および血液粘度の解析のためのソフトウェアの開発に関しては、血流速分布を毎秒30コマのフレームレートで可視化し脈波解析を行って取得した脈波信号に基づきストレス状態と血液粘度を定量評価できるソフトウェアをMATLABにより開発することができた。その上で、血液粘度計を用いた比較実験により、本ソフトウェアに基づく血液粘度の評価結果の妥当性を確認することができた。 以上が、現在までの進捗状況をおおむね順調に進展していると評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
血栓可視化・血行動態分析用センサユニットの構成に関しては、現状では本ユニットがやや大型であるため、今後、汎用性を高めるためによりコンパクトなものに改良していく必要があると考えている。 また、血栓検出および血流速度、ストレス状態、血液粘度の解析のためのソフトウェアの開発に関しては、現状では画像処理にやや時間を要するため、今後、画像処理アルゴリズムへの並列計算の導入などにより画像処理の高速化を図っていく必要があるものと考えている。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響により出席を予定していた学術講演会および国際会議が全て中止あるいはWeb開催となり、これらに係る旅費および参加料が生じなかったために次年度使用額が発生するに到った。令和2年度に発生した次年度使用額に関しては、令和3年度以降に参加を予定している学術講演会および国際会議が通常通り開催されれば、全額をそれらへの出席のために使用する予定である。
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