2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of high-speed magnetic property evaluation system under inverter excitation for high-speed high-power density motor core
Project/Area Number |
20K04509
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
岡 茂八郎 日本文理大学, 工学部, 特任教授 (80107838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄損 / ステータコア / 電磁鋼板 / インバータ / PWM / 高調波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初の研究計画に従って以下の課題について主に研究を行った。第一に,昨年度導入し基礎的な利用法を把握した任意のデジタルパターンを生成できるディレイパターンジェネレータ(DG-8000, IWATSU)にPWMインバータのゲート信号作成専用のソフトウエア(DG-801, IWATSU)を追加し,自動測定のための駆動プログラムを作成した。これによって,いくつかのスイッティング素子を使用したPWM励磁下の磁気特性の測定装置を駆動するPWMインバータ用Hブリッジのゲート信号を生成でき,磁気特性を測定できるようになった。実験では,令和2年度に検討したIGBTで構成したHブリッジを使ったPWM励磁下の磁気特性測定装置を製作し,駆動プログラムも開発してリングコアの磁気特性を測定した。この実験では,1kHz程度の変調周波数,100kHz程度のキャリア周波数の条件下でPWM励磁下のリングコアの磁気特性を評価できた。第二に,SiC-MOSFETで構成したHブリッジについては,ファンクションジェネレータを用いたゲート信号発生器で駆動するPWM励磁下の磁気特性測定装置とディレイパターンジェネレータで駆動するPWM励磁下の磁気特性測定装置の両方について予備的な実験を行った。この場合,変調周波数は数kHz,キャリア周波数は500kHzまで動作可能であった。第一,第二の成果については,令和4年1月の電気学会マグネティクス研究会(Web)で報告した。第3に,現在,構築しているPWM励磁下の磁気特性測定装置の初期応用例となる高速多極デュアルアキシャルギャップ誘導モータの極薄電磁鋼板製巻き積層鉄心製ステータコアの磁気特性把握法である「励磁コイル法」を開発した。PWM励磁時の磁気特性測定の基礎実験として正弦波励磁時のステータコアの磁気特性を評価できた。以上が,本年度の研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記評価の理由は,第一に,1kHzまで程度の変調周波数と100kHz以下程度のキャリア周波数を使えるHブリッジにIGBTを採用した電磁鋼板用のPWM励磁下の磁気特性評価装置を開発できたことである。この装置は,ゲート信号発生器にディレイパターンジェネレータを採用していることから,変調周波数とキャリア周波数の目標値は達成できた。さらに,励磁電流の測定法をカレントプローブ法に変更し励磁電流の観測波形に含まれるスイッティングノイズを大幅に低減できたことも成果である。第二に,SiC-MOSFETをHブリッジに採用した二種類の電磁鋼板用のPWM励磁下の磁気特性評価装置にめどをつけることができたことである。変調周波数>数kHz,キャリア周波数>数kHzは可能であるとの見込みを得ている。ファンクションジェネレータを使用したPWMインバータでは,デッドタイムを固定する必要があり変調率の自由度も低いが,安価である点は手軽なPWM励磁下の磁気特性評価装置には十分な特性を示した。また,第三に,新しい高速多極デュアルアキシャルギャップ誘導モータの極薄電磁鋼板製巻き積層鉄心製ステータコアの磁気特性把握法である「励磁コイル法」を開発し,正弦波励磁時ながらその磁気特性の測定に取り掛かることができたことである。さらに,第四に成果としてSiC-MOSFETをHブリッジに採用するとその高速スイッティング性のために励磁電流の測定時や磁束密度測定時のADコンバータのサンプリング周波数の制限が問題となる場合が出てくる問題点が明らかになったことである。この点に関しで比較的安価で高速なオシロスコープをデータ収集に使えないかと手持ちのオシロで予備実験を行い,サンプリングの高速性だけではなく垂直方向の分解能も重要であることが分かった。以上の様にあと1年研究時間を残した段階での本研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,高速PWMインバータ励磁部用のIGBTおよびSiC-MOSFET 型Hブリッジ部とゲート信号作成用のディレイパターンジェネレータとのインターフェイス部の製作,および,駆動プログラムの改良を行った。製作したIGBT型Hブリッジを用いた装置を使用して各種電磁鋼板のリングコアの磁気特性解明の実験を行い,リンギングやスイッティングノイズの非常に少ない大変良い結果を得た。また,高速多極デュアルアキシャルギャップ誘導モータの極薄電磁鋼板製巻き積層鉄心製ステータコアの磁気特性把握法である「励磁コイル法」も開発した。この結果をふまえて本課題の最終年度である令和4年度は,第一に,高速スイッティング素子であるSiC-MOSFETに採用に伴うリンギングの減少を狙って,前年度製作したSiC-MOSFET 型Hブリッジ部を多層基板化しスイッティング時の過渡特性の改善を行いたいと考えている。第二に,製作した装置を使用して実際の高速多極デュアルアキシャルギャップ誘導モータのステータコアをPWMインバータ励磁下で磁気特性評価を行いたいと考えている。第三に,現有の高速磁気特性評価装置の可変電圧電源の出力可能最大電圧を大きくし,インダクタンス成分の大きい被測定用電磁鋼板製コアのPWM励磁下での磁気特性測定を可能にしたいと考えている。これを解決するためには出力電圧の大きい可変電源電圧の電源を購入し,プログラムを開発しシステムの改良を行いたい。第四に,データ収集用のADコンバータの高速化に向けて,高速高分解能オシロスコープの利用に関する予備調査・研究を行いたいと考えている。最後に,第五に近年のモータはさらに高速高パワー密度化しているため,これに対応した高速PWインバータとするためにGaNパワー素子も検討・試作する予定である。さらに,国内や国外の学会に積極的に参加し情報収集に努めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
令和1年末から続いている新型コロナウイルスのため、令和2年度と同様に国内外の学会や研究会などが中止、あるいは、Web会議となり旅費への支出がなくなったために、多くの未使用額が残った。 次年度使用金については,来年度もさらに研究を進展させるために必要な可変電圧電源の購入を考えている。さらに,コロナが収束すれば,資料収集や成果発表のための学会参加や会議出席に使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)