2020 Fiscal Year Research-status Report
土壌のイオン種制御にむけた長期連続計測のための妨害イオン抑制型pHセンサの実現
Project/Area Number |
20K04519
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
二川 雅登 静岡大学, 工学部, 准教授 (90607871)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | pHセンサ / ドリフト抑制 / ISFET / 電圧制御 / 農業培地 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランジスタ(ISFET)を基盤とする半導体型pHセンサは、土壌から抽出した溶液サンプルを計測したり茎などに突き刺して植物が吸収した内容液を直接計測するなど様々な用途で使用されている。しかしながら、この半導体型pHセンサは、時間と共に水素イオンを検出する膜の電位が一定方向(主にマイナス電位)に変動するドリフト現象が発生し、連続かつ長期間の計測は不向きであった。この課題を解決するため、水素イオン吸着機構に影響を与えず効率よく妨害イオン抑制用電圧を印可できる、ストライプゲート電極を付加した新たな半導体型pHセンサの製作を実施した。 初年度となる2020年度は、提案するストライプゲート電極の設計を行い、ベースとなる半導体型pHセンサとの統合方法について検討を行った。追加工程となるゲート電極はCMOS製作プロセスと親和性の良いPoly-Si材料で実現することとし、新構造のストライプゲート型pHセンサの製作を行った。そして、提案デバイスの製作に成功し、参照電圧に対して出力電圧が変化するISFET動作を確認することができた。また、ゲート電極に電圧を印可してもpH感度に影響を及ぼさないことを確認し、本提案構造・駆動方法でpH計測を実現することを確認することができた。ゲート電極の電圧を変化させると、ドリフト量が従来の-1.5mV/hourから-0.098mV/hourへと改善したことも確認でき、目的とする長期計測のためのpHセンサの実現に大きく前進したといえる。 今後、特性評価を進めると共に、農業用培地など現地計測を実施できるよう、デバイスの最適動作条件の決定と駆動回路の設計を行っていく。そして、駆動回路を用い、農業用培地内での連続駆動を行い、ドリフト無く安定して動作できるセンサの実証を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度となる2020年度は、提案するストライプゲート電極の設計を行い、ベースとなる半導体型pHセンサとの統合方法の検討と、デバイス製作を行う予定となっていた。原理検証のためのセンサデバイスの設計・製作を早急に進め、次年度実施予定であった評価の内、初期特性取得まですすめることができ、計画以上に研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、提案するストライプゲート電極の設計を行い、デバイスの製作を行うことができた。また、初期特性を取得するところまですすめることができている。次年度以降では、農業用培地など現地計測を実施できるよう、デバイスの最適動作条件の決定と駆動回路の設計を行っていく。そして、駆動回路を用い、農業用培地内での連続駆動を行い、ドリフト無く安定して動作できるセンサの実証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたデバイス製作にかかわる2nd試作代が不要となった。翌年度に開発予定の駆動回路基板の製作費と合算使用する予定である。
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