2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of Broadband Dielectric Measurement Method in Liquids under Temperature Change Environment for Synthesis of Functional Materials
Project/Area Number |
20K04522
|
Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 幸司 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50382586)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 複素誘電率 / 誘電率測定 / Sパラメータ / 高周波インピーダンス / マイクロ波化学 / マイクロ波 / 高周波 / モード整合法 |
Outline of Annual Research Achievements |
電磁波による物体の加熱時に溶媒となる、少量の液体の複素誘電率を迅速、簡便かつ広い周波数帯域で推定可能な遮断円筒導波管反射法のJIS国家標準およびIEC国際標準への登録を目指して下記の検討を行った。
1. SMAコネクタによる測定治具のS11をSOL(short, open およびload)終端の標準器にて校正する手法を提案し、0.5 - 3.0GHzの周波数帯域にわたる各種液体の複素誘電率の測定結果より、手法の妥当性および有効性を確認した。 2. 誘電率測定の前に測定治具のS11の校正をshort終端の標準器にて確実に行う為、2020年1月に提案された同軸給電型段差付遮断円筒導波管の構造に対して、厳密な入力インピーダンス(S11)の計算を行える公式をモーメント法により定式化した。また、この公式による計算値を有限要素法による計算値と比較し、手法の妥当性および有効性を確認した。 3. 測定治具のS11の校正をshort終端の標準器にて確実に行える、同軸給電型段差付遮断円筒導波管の治具を用い、S11の校正時および誘電率測定時に2項のモーメント法による厳密な入力インピーダンス(S11)の計算手法を適用することで、各種液体の測定値より提案手法にて0.5 - 3.0GHzの周波数帯域にわたり高精度な液体の誘電率測定が行えることを確認した。 4.事前に3つの基準物質またはSOM(short, open および1種類の基準物質)により治具のS11を校正した後、モード整合法の逆問題および基準物質と比較する推定公式を適用することで、各種液体の誘電率測定を高精度に行えることを理論的および実際の測定にて確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示すとおり、2020年度は遮断円筒導波管反射法による液体の複素誘電率測定手法における、周波数帯域の500MHz以下の低周波帯および3GHz以上の高い周波数への拡張に必要となる、治具の改善や解析モデルの入力インピーダンス(S11)の厳密な計算手法を確立した。これにより、研究代表者が提案している高周波帯およびマイクロ波帯における液体の誘電率測定法の、標準化および高機能化を行う為の確実な道筋がつけられたと評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
遮断円筒導波管反射法による液体の誘電率測定法の低周波帯および3GHz以上の高い周波数への拡張を目的として、
1.Nコネクタなどの給電による大径な試料挿入孔を有する測定治具のS11の校正および各種液体の誘電率測定を行い、提案手法の下限周波数の拡張を図る。また、2. 同軸線路の外導体内径の小さなSMAコネクタなどの給電による小径な試料挿入孔を有する測定治具のS11の校正および各種液体の誘電率測定を行い、提案手法の上限周波数の拡張を図る。
更に、新たに導入した高周波LCRメータによる高周波帯における液体の誘電率測定法を確立して外部に公表し、手法の普及を図る。これらを踏まえ、遮断円筒導波管反射法にて各種液体の複素誘電率の温度特性を測定するための治具の構造および測定系の検討を行う。
|