2021 Fiscal Year Research-status Report
水中超音波により生じる気泡の音響信号を用いた気泡の発生量及び運動状態の計測制御
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20K04525
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 武吉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70455434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音響キャビテーション / 広帯域雑音 / 超音波パワー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高出力超音波を水中に照射した時に生じる現象である音響キャビテーションによる気泡の個数や運動状態を気泡から生じる音響信号を用いて定量計測することを目的としている。音響キャビテーションにより生じる気泡は、超音波洗浄や音響化学などの分野で用いられており、特に超音波洗浄では加工部品の品質や医療器具の殺菌・滅菌の度合いに関係する重要なプロセスである。気泡は、照射超音波の周期に伴い膨張、収縮、圧壊を繰り返し、その運動状態に伴い、気泡からインパルス的な音響信号や周期的な音響信号が発生する。我々は、この音響信号を利用することで気泡の個数や運動状態を定量的に計測制御できないかを検討している。令和3年度は、3年計画の2年目にあたり、令和2年度に構築した実験装置の評価等を行った。以下に概要を示す。 1.超音波照射装置の評価技術の検討:音響キャビテーションの発生状況を評価するためには、超音波照射装置の水槽内に形成される超音波パワーを精密に評価する必要がある。そのため、低周波数の領域に対応した天秤法を用いた超音波パワー測定装置を構築した。結果として、1 MHz以下の超音波パワーを精密に測定できることを確認した。この成果を国際会議で発表した。 2.広帯域雑音の受信:円筒形キャビテーションセンサを試作し、超音波照射装置内に発生する気泡の音響信号の一つである広帯域雑音の測定に成功した。広帯域雑音は水槽中心で高く、水槽壁面に向かって低くなることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は3年計画の2年目であり、超音波照射装置の評価技術の構築及び音響信号である広帯域雑音の受信などを行った。新型コロナの影響で在宅勤務等があり、実験が行える時間の確保に苦労した結果、当初計画していた高出力領域の超音波パワー計測に関しては検討を始めたところで年度末を迎えている。そのため、当初計画よりやや遅れていると考えられる。今後は研究の進歩スピードを速め、遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、異なる周波数を用いて広帯域雑音と超音波洗浄の洗浄能力の評価を行う。また、広帯域雑音と超音波音場の関係を評価する予定である。そのために必要な高出力領域の超音波パワー測定技術の構築を早めに行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で在宅勤務が多くなり、実験の進歩状況がやや遅れたため、次年度使用額が生じた。高出力超音波パワーの水槽改良代に使用する予定である。
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