2020 Fiscal Year Research-status Report
微量液体分析器等の精度改善を目指す微小流路流れ場解析手法の研究
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20K04527
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
土井原 良次 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (00357550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
経田 僚昭 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50579729)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微小流量 / 流れ場 / LDV / マイクロチャンネル / 標準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では微小流路において定量性の明確な基準流動場を発生させる手法を開発し、これを多点同時計測LDVで解析することで微小流路の流れ場測定手法を研究開発する。相互検証することで、微小流路の流動場の解析精度を向上させ、流動場計測技術の向上による、分析機器、計測機器の精度の向上寄与することを目的とする。 2020年度は第一段階となるマイクロフロー流動場を発生させるための基準流量発生装置の開発を進めた。シリンジドライブモジュールにリニアエンコーダを組み合わせて、流量標準装置(校正装置)による静止法での精密な校正を可能にした。ただし、静止法では流動開始と停止時の流量遷移による誤差影響が懸念される。本研究の過程で流量を変化させずに瞬時に秤量システムへの液体取り込みを可能とする通液式(Flying start and finish法)を微小流量に適用する方法が考案された。このことにより、脈動影響を小さくし、絶対値の校正精度が向上することが期待される。同時に必要な校正装置の改良も実施した。その上で、極微小流量での精度に極めて影響が大きい秤量システムの蒸発誤差について、より詳細な不確かさ解析を行い、校正装置の定量性を向上させた。また、マイクロチャンネルの諸元について検討を続け、流入流出配管経路について整備を進めた。このマイクロチャンネルに対して多点同時LDVを適用するための微小流路用光学系の開発を進めた。 今後は、実際に基準流量発生装置を校正装置により校正し、その絶対値の精度を評価する。また、基本となる単純なマイクロチャンネルの評価を開始し、より複雑な流動場を評価する準備を進める。同時に3年目に予定している変動流量発生装置へ発展させるための動力制御システムの導入準備を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一段階となるマイクロフロー流動場を発生させるための基準流量発生装置の詳細設計を行い、必要となる構成要素部品を調達した。当面の目標である1 μL/min (水において1mg/min)の最小流量から10 mL/minの範囲で十分に安定した流量を発生させる基準流量発生装置を設計した。少なくとも静止法による校正が可能になった。 ただし、予定していた静止法では流動開始と停止時の流量遷移による誤差影響が懸念される。本研究の過程で通液式(Flying start and finish法)を微小流量に適用する方法が考案された。基準流量発生装置の校正方法を通液式に変更し、このための転流装置の開発を行った。これらの検討のため装置構築にやや遅れが生じたが、極微小流量でありながら、より理想的な通液法が使用できる可能性がでてきた。 また、極微小流量での精度に極めて影響が大きい秤量システムの蒸発誤差について、より詳細な不確かさ解析を行い、校正精度の定量性を向上させた。また、マイクロチャンネルの諸元について検討を続け、流入流出配管経路について整備を進めた。このマイクロチャンネルに対して多点同時LDVを適用するための微小流路用光学系の開発を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
装置構築を早急に仕上げて、実際に基準流量発生装置を校正装置により校正し、その絶対値の精度を評価する。また、基本となる単純なマイクロチャンネルの評価を開始し、より複雑な流動場を評価する準備を進める。 同時に第四段階に予定している変動流量発生装置へ発展させるための動力制御システムの導入準備として精密サーボ制御式の基準流量発生装置の構築も併せて開始する。また、この変動流量発生装置については、流量レンジについて、微量分析器、マイクロリアクター、MEMSセンサーなどで重要とされるような、更に小さい流量まで拡張する方向性を持って推進する。
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Causes of Carryover |
基準流量発生装置を校正する手法について、本研究の過程で開発された微小流量用の通液法に変更するため、装置の仕様を変更せざるを得なかった。新たに開発する転流器部分の設計を待って、装置仕様、部品の確定をおこなったため、調達の時期が年度を超えた。本来構築予定であった基準流量発生装置の部品であるため、調達時期がずれたのみで資金の使用計画の内容に変更はない。
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