2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K04530
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 雅康 宇都宮大学, 工学部, 助教 (10456692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 光男 宇都宮大学, 工学部, 教授 (50282447)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多自由度パルス変調 / 厳密線形化 / 三相インバータ / サンプル点間応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
パワーエレクトロニクスをはじめとするさまざまな分野でパルス変調方式を用いた制御系が構築され,省エネルギーの実現などその有意性は広く認められている.ところが,この方式が有する非線形特性が原因で,いまだ高速高精度のモーションコントロールには敬遠される現状がある.この問題に対し,報告者らは,制御周期内におけるパルス矩形波の幅だけでなく,その数や配置を操作する新しい方式を提案して,問題の緩和を図ってきた.本研究では,制御周期に比べて速いダイナミクスの影響を考慮に入れることで制御性能をさらに高める方法の開発や,三相交流モータへの適用を目指した手法の拡張に取り組んでいる. 前年度は,パルス変調駆動高次系のフィードフォワード入力設計において周波数整形型終端状態制御を応用し,制御対象の高次モード励起に対応する速い振動を抑制しながら高精度位置決めを達成する方法を開発した. 今年度は,三相交流モータの制御問題に取り組み,三相インバータの厳密線形化に成功した.具体的には,三相インバータは各相の電圧をスイッチングにより操作するが,その操作量の自由度を利用して非線形性を消去できることを示し,三相インバータ電流制御の数値実験によって有効性を示した.また,厳密線形化の方式は複数考えられ,方式の違いによりサンプル点間の速い応答に変化が生まれることを確認した.加えて,報告者らのパルス駆動系に対するこれまでの研究成果の体系化を進め,その結果を学会誌や国際会議にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,主に以下の4つの研究小内容に取り組んでいる:(i) サンプル点間応答の評価と多自由度パルス変調を用いた制御の検討,(ii) 高周波数モードの影響を考慮した終端状態制御の検討,(iii) 三相交流モータ制御系の厳密線形化法の提案,(iv) 実システムへの適用による有効性の検証.2020年度は(ii)と(iv),2021年度は(iii)について推し進めることができ,全体としておおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は,複数パルスを用いて変調方式の自由度を増やすことがサンプル点間応答を含む制御性能に与える影響について解析を進める.また,三相交流モータ系を制御するためには三相インバータと回転系を併合した系を考える必要があり,この拡大系に対する厳密線形化法の応用に注力する.
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き,参加を予定していた国内外の学会がコロナ禍ですべてオンライン開催となり,旅費として計上していた経費と実費とに差額が生じ,次年度に繰り越すことになった.論文掲載料や英文校正料として使用予定である.
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