2021 Fiscal Year Research-status Report
イベント駆動型通信・推定・制御機構を有するマルチエージェントシステムの協調制御系
Project/Area Number |
20K04543
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
楊 子江 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (30243984)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | イベントトリガ制御 / マルチエージェントシステム / 出力フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の動的エージェントが相互作用しながら,大域的な目的を達成するというマルチエージェントシステムの制御は近年注目されている。リーダーの指令値が一部のフォロアー(追従者)エージェントだけに送信され,各エージェントが近傍と交信しながら,協調して指令値に追従するといった同期追従制御が活発に研究されている。とりわけ,不確かさを有する非線形実システムの協調制御手法(ロボットの協調制御,分散発電装置の電圧・周波数同期追従など)の確立は,実用上重要であり,発展が期待される。従来のマルチエージェント協調制御系では,エージェント間は時間的に連続な通信を行うという設定が多い。ネットワーク通信資源の制限や,エネルギー消費の低減などを考えると,必要な時だけ離散的に作動するイベントトリガ型通信や制御を行うことが強く望まれる。第2年度の研究成果を以下のようにまとめる。 (1)初年度にイベントトリガ型通信を行いながら,それらを推定するイベントトリガ型指令値推定器を開発して,得られた指令値推定値を用いて,不確かさを有する各非線形システムに対して,イベントトリガ型非線形ロバスト制御系を構築し,ロバストな合意追従制御系を初歩的に実現した。本年度では,それをさらに深化して,厳密な理論的証明を行い,理論的性能保証を確立した。国際雑誌に投稿して,また査読意見に基づき,修正を行い,採択してもらった。 (2)さらに,そもそも正準系でない非線形システムを座標変換によって正準系に変換して,イベントトリガ型出力フィードバックロバスト制御系の構築手法を提案して,実験によって確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,マルチエージェントシステムの合意追従制御系を構築した。特に,エージェント間の通信を連続的に行うのではなく,必要に応じて断続的に行うというイベントトリガ型通信を実現できた。また,各エージェントのローカル制御器も連続的に作動するのではなく,必要に応じて断続的に更新するというイベントトリガ型制御系として構築された。また,単体のロボットマニピュレータのイベントトリガ型スライデングモード制御も実機実験で確認した。さらに,各ローカルエージェントに対して,イベントトリガ型出力フィードバックロバスト制御系の構築手法を提案して,実験によって確認した。よって,イベントトリガ型通信と各ローカルエージェントのイベントトリガ型ロバスト制御手法をほぼ確立した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえて,さらに下記の課題を完成する。 (1)各ローカルエージェントに対して,提案したイベントトリガ型出力フィードバックロバスト制御系について,理論的解析を完成し,雑誌投稿を行う。 (2)これまでに提案したイベントトリガメカニズムは静的誤差関数に基づいているが,特に観測雑音が存在するとき,必要以上な更新イベントの発生が確認されている。本年度では,この問題点を解決するために,誤差信号に対してフィルタリング効果をもつ動的イベントトリガメカニズムを開発する。
|
Causes of Carryover |
実験装置と計算機消耗品を購入したときに,価格予想に誤差が生じたため,数万円程度の残額があった。次年度に消耗品や文房具などを購入するのに充てる。
|
Research Products
(4 results)