2021 Fiscal Year Research-status Report
ディペンダビリティを実現する大規模システム制御理論の構築
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20K04547
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤崎 泰正 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (30238555)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 制御工学 / 数理工学 / アルゴリズム / モデル化 / ディペンダブル・コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「ディペンダビリティを実現する大規模システム制御理論の構築」では、研究代表者らが行ってきたランダマイズドアルゴリズムや確率的解析、分散制御などに関するこれまでの研究成果を、現代の高度にネットワーク化された大規模システム制御における基本的課題であるディペンダビリティを実現するものへと発展させることを目指している。そのために、計算機科学分野からのアイデアも取り入れ、大規模システム制御理論を現代的な課題に応えるものへと再構築するべく、基礎と応用の両面から研究を実施している。 計画2年目にあたる2021年度は、ディペンダビリティの応用面からの研究を継続しつつ、ディペンダビリティの基礎に関する研究を展開した。ここでは、分散最適化問題として、各エージェントの目的関数の和を最小化する問題を取り上げ、それを2種類の制約条件のもとで検討した。一つは各エージェントの決定変数の和が一定であるという制約であり、もう一つは各エージェントの決定変数が一致するという制約である。前者は電力システムの経済負荷配分で現れる問題であり、後者はマルチエージェントシステムの分散最適化で取り上げられる問題である。このどちらに対しても、エージェント間の情報交換のネットワークが無向グラフで連結である限り、標準的な分散最適化アルゴリズムにモーメンタム項を導入することができ、最適解へ必ず収束することと、その収束の速さをモーメンタム項により調整できることを明らかにした。これらの成果は、学会にて研究発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディペンダビリティの基礎について、分散最適化の性能の指標となる収束の速さに着目し、その調整が可能となるモーメンタム項の導入方法について、萌芽的な研究成果を得て学会発表を実施している。以上より、現在までの達成度はおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画3年目も、ディペンダビリティを実現する大規模システム制御理論の構築について、基礎と応用の両面から研究を進める。まず、基礎については、計画2年目に実施した分散アルゴリズムの性能解析と設計に関して引き続き研究を進め、ディペンダブルなネットワーク構造の特徴付けや分散アルゴリズムの性能保証という観点から、研究成果の整理を進める。また、応用については、ソーシャルネットワークにおける合意形成に関しては既に完了したので、マルチエージェントシステムのディペンダビリティ解析と制御に関する研究に注力する。
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Causes of Carryover |
本年度も新型コロナウイルスに関わる状況に対応するために、研究を実施しながら必要に応じて研究費を逐次執行したため、当初の見込額と執行額にずれが生じた。特に、本年度も学会がオンライン会議となったため、旅費の支出がなくなったことが大きい。一方、研究を進めるためのRA経費も引き続き必要であり、旅費として予定していた一部を人件費・謝金の不足分に充当しつつ、前年度の研究費も含め、全体として当初予定通りの支出総額の範囲内となるように計画を進めて行く。
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