2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a 100GHz band measurement system: High sensitivity, high accuracy and high efficiency dielectric evaluation
Project/Area Number |
20K04559
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
清水 隆志 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (80500397)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 材料計測 / 誘電体 / 複素誘電率 / 空洞共振器 / ミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、Beyond 5G/6Gといった次世代通信技術で検討されているW帯(75-110 GHz)における高度な電子機器デバイス開発の根幹を成す要素技術の一つである、100 GHz帯の誘電体材料評価技術を構築することを目的としている。2020年度においては、2019年度までに開発してきた50 GHz帯TM0m0モード空洞共振器を用いた測定技術の深化を中心に検討を進めた。 まず、測定精度および測定効率の向上を目指し、径方向分割の有効性を材料評価用50GHz帯TM0m0モード空洞共振器に関して検討した。従来の軸方向分割構造と提案する径方向分割構造により生じうる空隙が共振特性へ及ぼす影響を、有限要素法による電磁界シミュレーションにより計算した結果、試料装荷の有無によらず、径方向分割構造による空隙の影響が、従来の軸方向分割構造よりも少ないことを明らかにした。本結果に基づき、径方向分割50GHz帯TM0m0モード空洞共振器の詳細な構造設計を行い、試作業者と製作工法の打ち合わせを進め、共振器試作を開始した。また、並行して、軸方向分割50GHz帯共振器の測定効率の向上を目指した測定手順の検討を進め、4倍程度の測定効率向上を実現した。さらに、測定範囲拡大を目指した実証試験を行い、50GHz帯において測定可能な複素誘電率の範囲を拡大した。 さらに、本課題の最終目標とする材料評価用100GHz帯TM0m0モード空洞共振器の基本設計を進めた。電磁界解析の結果に基づき、共振器の基本構造となる直径および高さを主共振モードと不要共振モードとの関係性から決定した。決定した寸法は、目標とする性能指数Q値4000以上が得られることを明らかにした。 また、本課題の有効性の検証のために、遮断円筒導波管法や円筒空洞共振器法により、誘電体材料の複素誘電率評価を行い、複素誘電率データベースの拡充を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の計画時には予期していなかった、COVID-19の感染拡大の影響により、今年度研究開始時期に2ヶ月程度遅れが生じた。さらに、2021年2月に発生した福島県沖地震の影響により、試作業者の工場の一部に被害が生じるという要因も重なり、2020年度目標としてた材料評価用100GHz帯TM0m0モード空洞共振器の設計完了および試作開始まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究開発により、基本設計が完了した100GHz帯TM0m0モード空洞共振器に関して、電磁界シミュレーションを駆使して、材料評価用径方向分割100GHz帯TM0m0モード空洞共振器の詳細構造の検討を進める。さらに、2021年度前半までに、試作可能な共振器構造を決定し、試作を開始する。2021年度末までに、100 GHz帯における棒状誘電体の複素誘電率計測システムの構築を進めていく計画である。 さらに、径方向分割50GHz帯TM0m0モード空洞共振器試作共振器の試作が、2021年度前半までに完了予定である。このため、試作共振器と従来型軸方向分割共振器と比較評価を行い、径方向分割の有用性の実証を進めていく計画である。
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Causes of Carryover |
本研究課題の計画時には予期していなかった、COVID-19の感染拡大の影響により、今年度研究開始時期に2ヶ月程度遅れが生じた。さらに、2021年2月に発生した福島県沖地震の影響により、試作業者の工場の一部に被害が生じるという要因も重なり、2020年度目標としてた材料評価用100GHz帯TM0m0モード空洞共振器の設計完了および試作開始まで至らなかった。また、同様の理由により、軸方向分割材料評価用50GHz帯TM0m0モード空洞共振器の試作開始時期も遅れたため、支払い時期が2021年度となり、次年度使用額が生じた。両共振器とも設計は進んでおり、これら共振器の試作費用ならびに、測定システム構築用高周波部品に充てる計画である。
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