2021 Fiscal Year Research-status Report
塗布型高ドープ導電性高分子によるテラヘルツ光学素子の開発
Project/Area Number |
20K04561
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松井 龍之介 三重大学, 工学研究科, 准教授 (80452225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 導電性高分子 / ドーピング / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
1cm2/(V・s)もの高い移動度を示しかつ塗布成膜が可能な導電性高分子PBTTTへのアクセプタ分子F4TCNQのドーピングにより、数百S/cmもの高い導電率の試料の作製が可能であることがここ数年の間に明らかとされてきた。そのような高い導電率の試料であればテラヘルツ周波数帯では金属的に振る舞うものと考えられる。また、薄膜の塗布形成やアクセプタ分子の蒸着によるドーピングなどプロセス面でも高い優位性があり、安価、軽量、フレキシブルなど、他の材料系ではなし得ないテラヘルツ光学素子が比較的容易に実現できるものと期待される。そこで本研究では、PBTTT/ F4TCNQによるテラヘルツ光学素子の開発に関する研究に取り組んでいる。 PBTTTとして側鎖アルキル鎖長の異なるPBTTT-C12およびPBTTT-C14の市販のものを使用した。ノンドープ試料の数十ミクロン厚の自立厚膜試料は、ドロップキャスト法により再現性良く得られる状況にある。一方で、ドープ試料に関しては、犠牲層の除去時に脱ドープしてしまうことがわかり、キャスト自立膜および高抵抗シリコン基板上へのスピンコート膜の両方を試料として誘電関数の解析を進めている。 一方で、有機半導体と金属微粒子の複合系のテラヘルツ分光を目的として、1fAまでの微小電流が計測可能なデジタルエレクトロメータを導入し、金属蒸着量と試料の導電率の経時変化を測定するためのシステムの構築にも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高抵抗シリコン基板上に導電性高分子薄膜を薄く成膜した二層系のテラヘルツ分光データの解析を進めている。そのための解析プログラムの改良に取り組んでいる。金属蒸着量と試料の導電率の経時変化を測定するためのシステムは構築中であり、完成に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
有機半導体と金属微粒子の複合系のテラヘルツ分光を新たに計画に加えているが、他の研究計画に大きな変更の予定はない。ノンドープおよび様々にドーピングレベルを調整したPBTTT/F4TCNQ試料を作成し、テラヘルツ光学応答に関する知見を得る。特に、導電率の継時変化を詳細に調べる。また、パターン化したドーピングによるテラヘルツ光学素子類の作製に取り組む。
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