2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体の溶融転写成膜における融液流動過程の解析
Project/Area Number |
20K04576
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市川 結 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (80324242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 薄膜作製法 / メニスカス力 / 無溶媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
メニスカス力の測定:溶融転写成膜におけるメニスカス力を定量化するために、メニスカス力の解析に影響を与える各種の要因を明らかにすることを行った。その結果、メニスカス力の解析には、流動後もメニスカスを維持していることが不可欠であり、解析に適した成膜を行う必要があることが明らかになった。その結果、メニスカス力の材料力学的な解析精度は向上し、実験値と解析式の相関係数は0.95以上が得られるようになった。その一方で、解析用実験に不可欠なラボ作製のポリイミドフィルムの物性値のばらつきの影響が顕著に表れることが明らかとなった。溶融成膜に用いた材料のアルキル鎖の長さ、鎖の炭素数の偶奇がメニスカス力に影響する可能性は現在のところ不明である。 有機半導体の表面張力、フィルム転写版の表面処理が与える影響:フッ素基を有し、表面張力が小さいと予想される有機半導体、転写フィルムの表面処理が、転写製膜した有機半導体薄膜の電荷輸送特性に与える影響を調べた。フッ素基数の増加と共に電子移動度は低下した。一般に、フッ素基数の増加と共に表面張力は低下する。一方、有機半導体の物性物理の基本的な考えによると、フッ素基は分子の電子親和性を上昇させるため、電子移動度を増加させる。実際、これらの有機半導体を真空蒸着や溶液スピンコートで製膜した場合、フッ素基数の増加に伴って、電子移動度が大きくなる。以上のことから、有機半導体の表面張力が溶融転写製膜の膜質に影響していることが明らかになった。これは、溶融時のメニスカスの影響と考え、転写フィルムの表面処理について検討を開始した。
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Research Products
(2 results)