2020 Fiscal Year Research-status Report
過酷環境エレクトロニクスにむけた窒化物半導体集積回路プロセス技術の開発
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20K04579
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡田 浩 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30324495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 特任教授 (80149898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 窒化物半導体デバイス / モノリシック集積回路 / 素子分離技術 / 絶縁膜体積技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、研究計画に従いイオン注入法による素子分離技術の検討を行なった。GaNに対してしてボロン(B)をイオン注入して高抵抗領域を形成し、素子間の電気的絶縁を評価するとともに、この技術を応用したAlGaN/GaNの2次元電子ガスの抵抗素子の電気的特性の評価を行なった。この手法によって形成した抵抗素子は、イオン注入領域によって定義される幅や長さなど寸法によって制御されることを示した。これはイオン注入による高抵抗領域形成が2次元電子ガスのシート抵抗など電気的特性に悪影響を与えないことを意味している。折れ曲り部の抵抗の影響についても評価し、シリコン集積回路での設計公式パラメータが概ね適用できることを示した。また、イオン注入後のGaNの熱処理の効果についても検討した。 次に、独自開発した原子種支援化学気相堆積法 (ASECVD 法) による絶縁膜の形成についても、シリコン酸化膜(SiO2)の電気的特性向上にむけた堆積条件の依存性を調査した。今年度は堆積した直後の膜(as deposition)の状態の膜について評価を行なった。堆積膜は原料供給量を下げるなど堆積速度を制御することで絶縁膜としてのリーク電流低減の傾向がみられるた。研究全体で目指す絶縁ゲート型窒化物半導体デバイス作製の要諦を見出すことができた。 さらに、これらの検討にもとづいて、AlGaN/GaNヘテロ構造を用いたモノリシック・インバータ回路を作製し、インバータ動作に成功した。学会においてこれらの成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルスの影響は受けたが、実験の基盤技術の見直しを行うとともに、窒化物半導体の小規模なモノリシック集積回路を作製・評価を行なって、探求に基づいた課題の洗い出しを行うことができた。これらの結果は研究の2年目以降に有効に反映させることができ、研究初年度に有益な結果を得ることができ、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の検討の知見に基づいて、窒化物半導体の集積回路実現にむけた検討を進める。イオン注入による素子分離では隣接する素子のバイアスの影響がみられ、サイドゲート効果を含めた検討を行う。絶縁膜形成技術の検討では、堆積条件がおよぼす絶縁膜自体の電気的特性に着目してきたが、半導体との界面特性についても検討を行う。過酷環境エレクトロニクス応用のための実証データ取得のための検討も開始する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で、実験機会に制限が生じた。また、当初予定していた学会での成果発表旅費の支出も抑えざるを得なかった。研究全体として十分な成果を出すために、研究初年度の執行を2年度以降に繰り越すことにした。
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