2023 Fiscal Year Annual Research Report
界面制御による窒化ガリウムパワートランジスタの高性能化
Project/Area Number |
20K04587
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
色川 芳宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, 主幹研究員 (90394832)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GaN MOSFET |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、省エネルギーの観点から、インバータ等の電力変換モジュールに用いられるパワーデバイスの低損失化が求められている。GaN等のバンドギャップが大きい半導体は、材料の絶縁破壊電圧が高いために、電力損失の低減が期待されている。本研究では、MOS(金属/酸化物/半導体)型FET(電界効果トランジスタ)の酸化物/半導体界面を制御することで、GaNからなるパワートランジスタを高特性化することを目標としている。現状では、GaN MOSFETは、酸化物/半導体界面の知見が十分に得られていないために、理論的に期待される特性が得られていない。申請者らは、この酸化物/半導体界面に結晶性の酸化ガリウム界面層がナノシート状に存在することを世界で初めて確認しており、本研究では、この界面層に着目することによって界面特性を向上させ、素子の高特性化に繋げることを目的としている。本年は、GaN MOSFETの信頼性評価を行った。研究に用いたデバイは、n型GaN MOSキャパシタにおいて良好な界面特性を示す絶縁膜製膜条件を用いて作製されている。その結果、以下の2点が明らかになった。1)n型GaN MOSキャパシタにおいては良好な界面特性を示しているが、p型GaN MOSFETにおいては、デバイスの閾値が大きく変動する。2)p型GaN層の界面近傍に高濃度の酸素が混入しており、この酸素が閾値変動に関係している可能性がある。今後は、p型GaN層の界面近傍に混入した高濃度の酸素と閾値変動の関連をより詳細に調べるともに、p型GaN層の界面に酸素が混入しないプロセスを確立する必要がある。
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