2021 Fiscal Year Research-status Report
Realization of directional micro-LED by bottom-up technique
Project/Area Number |
20K04589
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
熊谷 直人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (40732152)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 学論 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, ラボチーム長 (80356609)
山田 寿一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, ラボ研究主幹 (20358261)
Zhang Kexiong 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 産総研特別研究員 (80774463) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 窒化物半導体 / 有機金属化学気相成長法 / InGaN / MOCVD |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究課題であった微小発光構造の選択成長(ボトムアップアプローチ)に用いる有機金属化学気相成長(MOCVD)装置及びパターン形成に用いる電子線露光装置が使用出来なくなったことから、フルカラーマイクロLEDの実現に資する別課題として、赤色発光が可能な高In組成InGaN成長を別のMOCVDを用いて取り組むことになった。 昨年度は赤色発光が期待される高In組成InGaN(In組成:0.35前後)の量子井戸構造をMOCVDで成長し、室温でのフォトルミネッセンス測定で650nmの赤色発光を確認できた。しかしながら、今年度フォトルミネッセンスの温度依存性を測定すると、70K付近から低温では波長550 nm付近の緑色発光の立ちあがりが強くなり、50Kより低温では550 nmでの支配的になった。一方で、同じウェハ内において面内分布を利用して成長した、室温で520 nmの緑色発光を示す量子井戸は、フォトルミネッセンス温度依存性においても典型的な量子井戸発光の振る舞いを示した。これらの結果から、室温で赤色発光が得られた量子井戸は室温でのバンド端近傍の発光ではなく、活性化された何らかの欠陥を介した発光メカニズムによると考えられ、今後の検討が必要である。 また、なるべく高い基板温度でInGaNのIn組成を増加させるため、TMIとTEGガスの供給比、及びV/III比を固定し、III族ラインのキャリア窒素ガスの流量のみを増加させ、供給ラインのトータル流量を3倍程度増加させることで、In組成を0.3から0.4に増加させることができた。室温のフォトルミネッセンス発光においては、In組成の増加に連れて、発光波長も650 nmから750 nmへの長波長化が確認されたが、先述のようにこちらについてもバンド端近傍からの発光かどうか、フォトルミネッセンス温度依存性の評価が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、InGaNの成長に用いている当該MOCVDは窒素ラジカルを供給するためのプラズマ源導入に際し、シャワーヘッドを改造したことから、ガスのフローが大きく変わり、基本的な成長条件の再検討が必要となった。通常のシャワーヘッドではIII族原料ガスとV族原料ガスが供給されるノズルの径や個数が同じで対称的なガスフローであるが、当該MOCVDでは、非対称になったことから、プラズマ源導入前の成長条件を用いることができず、各種ガスの流量条件の最適化に時間を要したからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで使用できなくなっていたMOCVD及び電子線露光装置が2022年度から使用可能になった事から、当初の課題であった微小発光構造の選択成長に関する研究を再開できると考えている。まずは、成長条件の確認、電子線露光プロセスの確認から行う。成長条件の確認後は、六角錐型の微小発光構造を選択成長により作製し、フォトルミネッセンスによる発光特性評価を行う。 一方、これまでに作製した高In組成InGaN試料については、引き続きフォトルミネッセンス発光の温度依存性などの評価を行う。欠陥を介したメカニズムは物性的な興味だけではなく、今後の赤色発光評価にも重要な知見を与えると期待される。
|
Causes of Carryover |
当初使用を予定したMOCVDや電子線露光装置が使用出来なくなったことから、計画の大幅な変更を余儀なくされたため、予算の執行に影響があった。変更の結果、本年度は昨年度までに作製した高In組成InGaN量子井戸試料の光学評価やXRD評価が主となり、物品等の購入が当初予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。ただし、本年度は前年度までの光学評価の結果をうけて、断面電子顕微鏡像観察の外注や、当初予定していた微小発光構造の選択成長に関する研究を再開することから、当初予定に近い予算の執行を行えると考えている。
|