2021 Fiscal Year Research-status Report
放射光直接エッチングによる短ミリ波帯テフロンSIW集積回路の開発
Project/Area Number |
20K04602
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岸原 充佳 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (50336905)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射光直接エッチング / 微細加工 / 短ミリ波帯集積回路 / テフロンSIW |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,放射光直接エッチングにより微細テフロン構造体を形成する方法を利用して,形状強度,回路設計自由度の高い誘電体基板集積導波路(SIW)型の短ミリ波帯集積回路の製作方法を確立する内容である.これにより,文字通りテフロン基板に集積した(埋め込んだ)導波管集積回路の実現を目指している. 2021年度は,テフロン基板に形成されるSIW回路の強度試験を行い,その結果をまとめている.Q帯(33-50 GHz)やG帯(140-220 GHz)の直線導波路部分を対象に試験し,導波路を破断または1 mmの曲げ変形を生じさせるのに必要な力を計測・比較した.Q帯では,従来の導波管構造と比較して1.18倍~2.19倍に強度が上がる結果を得ている.フィルタ構造などの導波路に狭部のある場合でも,1.03倍~1.75倍の強度となることを確認している.そして,G帯導波路は,Q帯導波路と比べて5%~15%の強度しかないことも試験結果から明らかにしている.このような低強度導波路の形状補強に,SIW構造が有効であることが確認できた. また,G帯を動作帯域とするSIW横断回路(0dBカプラ)を設計した.昨年度のものと同様に0.3mmの正方形スルーホールを0.2mm空けて並べる構造を採用している.これを基に,テフロンシート(厚0.40 mm)上にカプラのパターンを写したマスクを設置し,放射光直接エッチングを行った.その後,テフロン表面にAuのスパッタと電解めっきを施すことでテフロンSIW構造を得た.そして,良好な横断回路の特性となることを測定により確認した. さらに,本年度はCNCフライスにより導波管型のG帯方向性結合器を試作した.放射光エッチングを用いた製作方法との比較用データとして有用である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学会発表などのアウトプットが遅れている.2021年度に試作実験したG帯SIW横断回路は良好な結果が得られているが,未発表となってしまった.これは,実験の遅れやコロナ感染症による出張制限の影響もあるが,学内業務を優先したことにより年度内の公表ができなかった. 露光実験については,コロナ感染症による出張制限の影響でニュースバル放射光施設のユーザー登録を完了できなかった.研究協力者に露光実験を依頼したが,1回のみの実施に終わった.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,2020年度中に試みておく予定であったカプラ以外の回路素子の試作・評価を進めた.これについての成果をまとめると共に,今後は,短ミリ波帯でのテフロンSIW回路の集積化について評価を進めていく.また,現状で短ミリ波帯でのテフロンSIWの伝送損失がシミュレーションのみで,実際の導波路において妥当な値に収まっているか不明である.長さの異なるテフロンSIWを複数製作するなどして,伝送損失の見積りを行う必要があると考える.このとき,2021年度のCNCフライスによる金属加工で短ミリ波帯の導波管回路が製作できたことを利用して,測定用の導波管変換器も製作できれば,測定精度向上に繋がると考えている.
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Causes of Carryover |
2021年度についても,コロナ染感症の影響で出張に制限があり,旅費をほとんど使用しなかった.このため,旅費が僅か4,940円の支出に留まったことで次年度使用額が生じた.繰り越した70,076円は試作材料購入のための消耗品費として使用する.
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Research Products
(3 results)