2022 Fiscal Year Annual Research Report
DNA類似体で構築する高度集積回路の開発と高精度なDNA並列計算への応用
Project/Area Number |
20K04603
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
礒田 隆聡 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70284544)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MEMS / DNA類似体 / 素子 / 集積 / 並列計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では塩基配列の異なるDNAを16bit(約6.6×10^4ヶ)番地配列した集積電極を、精度の高い並列計算素子として機能させることを当初の目標にした。そのためには実施期間中に①人工的に分子設計されたDNA類似体を、演算子として電子回路中で再現性よく動作させるための基盤技術を確立し、②これを16bit集積電極に番地配列し、塩基配列を瞬時に電気信号で判別するための1チップ集積化の要素技術の確立が必要である。試作デバイスが上手く作動した後にハミルトニアン経路計算を検証し、DNA並列計算素子としての有効性を実証することを最終目標に設定した。 そこで初年度は①の基盤技術を確立した。まず樹脂基板上にDNA類似体を集積させる番地を4.5bit(約25ヶ)配列した集積電極対の設計と作製を実施した。同時にこの電極群の信号を連続的に切り替えて自動計測できるシリアル測定方式の計測デバイスの設計と試作を行った。このデバイスでは全ての番地の検出感度をスマートフォンで遠隔から設定し、条件を保存できる。そして測定信号をスマートフォンへデータ転送し、遠隔サーバーで自動解析できるシステムとした。 2年目は②の塩基配列を電気信号で検出するための要素技術を確立するため、DNAと同様に複合体の形成機能を持つ抗体分子を用いてこれを電極上に集積化する技術を確立した。次に集積した抗体分子を認識する抗原分子を用いて、その応答性を電気信号で捉える方法を調査した。このような要素技術によって、複数の番地上の信号を瞬時にスキャンできるDNA類似体チップの作製方法、ならびに計測方法の基盤技術の一部が確立できた。 3年目は②で確立した集積化抗体と抗原分子の電気応答検出を、再現性よく高精度にするための要素技術を検討した。現在、デバイス化のための基本特許の出願を検討中である。
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