2021 Fiscal Year Research-status Report
進行波型トランジスタ上の散逸ソリトンを用いた短パルス生成制御に関する研究
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20K04606
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| Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
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Principal Investigator |
楢原 浩一 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (00422171)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 非線形パルス相互作用 / 散逸ソリトン / 進行波型トランジスタ / トンネルダイオード / 発振器結合系 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
進行波型トランジスタ（TWFET）上の散逸ソリトンの同期現象の実証に注力し成功した。二つの閉じたTWFETのゲート、ドレイン各線路の単点をそれぞれ容量接続する。各TWFETにパルス状の非線形パルスが誘導され、両者のエッジが接続点を同時に通過するよう同期することが理論的に予想されている。実証のため、ブレッドボード上に30セルからなる閉TWFETを二つ作製し単点を容量接続した。全てのノード電圧を計測しこれを実証した。この事実は、サイズを異にするTWFETを接続することでサイズを大とする側に複数の散逸ソリトンが誘起されることを同時に示すものであり、パルス間相互作用の実証につながる要素的な成果と考えられる。また、ゲート、ドレインを襷掛けし接続すると、散逸ソリトン間には斥力が作用することも同時に確認した。理論的予測であるカエルとびパルスの成立をほぼ確立する成果でありその実証に展開する。22年度において異サイズTWFET間接続、結合TWFET系の製作と特性把握を実施する。計画の進捗は概ね堅調と考えている。
散逸ソリトン相互作用の原理特性は、TWFETの代替としてトンネルダイオード(TD)を用いても把握しうる。TWFETの動的な負性抵抗がトンネル効果素子の負性微分抵抗がよくシミュレートするためである。単位格子構造を簡便にすることができ検討の負荷が軽減される。閉じたTD格子をプラットフォームとして回転する2パルス間に斥力が作用することを縮約理論に基づき理論的に予測するとともに、テスト回路を用い実証した。補助的ではあるが重要な知見が得られている。
TWFETに関する成果は22年度早々に実施を予定する追試を経て論文として提出する。21年度はTD格子に関する学術論文３件がある。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
21年度には、TWFET上の散逸ソリトン同期現象の実証に成功した。これはサイズを異にするTWFETを接続することでサイズを大とする側に複数の散逸ソリトンが誘起されることを同時に示すものであり、パルス間相互作用の実証につながる要素的な成果と考えられる。また、ゲート、ドレインを襷掛けし接続すると、散逸ソリトン間には斥力が作用することも同時に確認した。理論的予測であるカエルとびパルスの成立をほぼ確立する成果でありその実証に展開する。これらは申請時に理論的予測として示し実証を重要な技術案件と定めたものである。基盤となる重要な事実を確立したことで22年度以降の進展がスムーズである。したがって、計画の進捗は概ね堅調と考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
22年度において異サイズTWFET間接続、結合TWFET系の製作と特性把握を実施する。前者は散逸ソリトン間引力により複数の散逸ソリトンを誘起し、それらの相互作用を明らかにすることが主たる目的である。斥力が作用するならばパルス間隔を一定に保つ動作につながりパルス回転の位相雑音低減が期待される。位相雑音におけるインパクトまで明らかにしたい。閉TWFETを三つ接続すると自己注入同期が期待される。その実証も併せ実施したい。一方、散逸ソリトン間斥力をもとにしたカエルとび現象を結合TWFETにおいて実証する。21年度にはTD格子において定常ソリトンが数値的予言された。将来的にTWFETにおいてもありうべき現象であり、その実証に向けた活動を実施する。
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| Causes of Carryover |
TD格子における空間定常ソリトンの実証を重要な技術案件と考えている。これを可能とするためには格子の全セル電圧を同時検出することが求められる。このための計測装置を購入することを優先している。検討する装置はドイツ製であり、おりからの半導体不足、円安といった社会情勢によって見る見る価格が高騰している。状況は苦しいがテスト回路製作費を削減するなどして対応したい。21年度支出実績が皆無であるのはこれがためである。
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